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回避操作 [交通]

海上自衛隊の最精鋭イージス艦「あたご」 と漁船の衝突事故が発生してしまいました。
「最新鋭のレーダーを備えたイージス艦が何でこんな事故を起こしてしまうの!」 と言うのが世間一般の思いでしょうが、テレビニュースの解説などを聞いていますと、いまいちピント外れの解説が多いようですね。

レーダーうんぬんは別としまして、海上衝突予防法によりますと、下の図のような場合、相手の船を右に見る方に回避義務が生じます。

もっと簡単に言いますと、赤いライトを認めた方が回避操作を行う事になります。これは船舶も飛行機も同じなのですが、共に右舷灯は緑、左舷灯は赤になりますので、今回の場合、イージス艦「あたご」 からは赤いライトが見えたはずですので、「あたご」 の方に回避義務が生じる訳です。そしてその回避操作は矢印のように、面舵となります。
漁船から「あたご」 を見ますと、緑のライトが見えたはずですので、回避義務はない事になります。

しかしこれがあくまでも建前であって、実際の現場では通用しない空論だと言えるでしょう。実際に衝突を避けるためには、回避義務がどうのと言う話にはなりませんからね。
考えても見て下さい。たとえば東京湾内で、小さな漁船やヨットを自船の右側に認めた数万トンもあるコンテナ船などが、いちいち回避操作を行って右へ左へと動き回っていては、湾内はパニック状態になってしまいますよね。
やはり大型船は自分の進路をしずしずと進み、小型の船の方が回避操作を行うのが現実的なのです。

今回は狭い湾内ではなく、外洋で起きた事故ですので、何とも言えませんが、 「あたご」 がとった全速後進の操作は、大型のイージス艦にとって、その時に取り得る最善の方法だったと考えます。

2隻の船に衝突する危険性がある場合、その相対位置は下の図のように常に一定になります。相手の船が常に同じ方向に見えていて、なおかつ近づいて来ている時には回避操作が必要になる訳です。
黄色の線。ただし、双方の船が一定の速度で航行しているという前提条件の下での話です。


衝突の危険性がない場合は、相対位置が刻々と変化していきます。青色の線。

飛行機の場合も同じ事が言えますが、3次元の世界になりますので、水平方向の相対位置が一定の場合でも、上下方向の変化があれば、(高度差があると言う事)衝突進路にはない事になります。


コメント(1) 

コメント 1

SpeedBird

毎日新聞のネットニュースには"右方向に緑の灯火を確認した"と
ありました。これが本当だといろいろなケースが考えられそうですね。
by SpeedBird (2008-02-19 22:42) 

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