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ミス・パイロット その壱 [航空関係]

フジテレビで、ちょっと気合いが入った?航空モノのドラマが始まりました。
主人公の女性、どこかで見た顔なので、宮崎あおいかな?でもちょっと違うかな?と思ったのですが、やはり違ってましたね、梅ちゃん先生でした。
航空会社の全面的な協力を得ているようなので、ハッピー・フライト のようにコックピット内やそこからの眺めなどは期待できるでしょう。航空会社の協力が得られなかった 沈まぬ太陽 のCGはお粗末でしたからね。
ただ、番組の最後に、「実際の訓練とは異なる場合があります」 とのテロップが入ってましたので、脱線し過ぎるのではとの不安も。
題名のミス・パイロットも、反対にすれば、パイロット・ミス。もうちょっと考えた方が良かったのでは?

2.jpgとは言いながらも、このドラマの今後の展開を楽しみにしているのは、私も現役時代には基礎訓練に関わっていましたし、岩城CAPや斉藤CAPと同じく、パイロット採用試験の時の適性検査を担当していた時期があったからなのです。
余談ながら、実生活での岩城滉一氏はバイクのレースにも出ている(出ていた?)のです。
私と同じだ!見かけは随分と違いますが [ふらふら]

パイロットに一番向いてないのが一点集中型ですので、ドラマのように操縦させながら、簡単な算数の問題を出していたのを懐かしく思い出しました。
番組の中でも言っていましたが、パイロットの適性とは何ぞや?となりますと、一言で言うのは難しいですね。
そして、その適性をどうやって見分けるのか?岩城CAPは だと言ってましたね。表現は悪いのですが、当たらずとも遠からず。シミュレータを操縦させて後ろで見ていますと、適性の有る無しは分かるものなのです。

もちろん、「勘で合格としました」 では通用しませんので、報告書を書くためにも、点数を付けておりました。

高度の保持 : 2点
針路の保持 : 2点
空中感覚 : 2点

と言う具合に、項目ごとに点数を付けて行って、確か60点以上が合格であったように記憶しています。
ところが、後ろで見ていて、『この人はパイロットには向いてないな』 と判断した人の点数が60点以上になることは絶対にないのですが、『適性あり』 と見た人の点数が59点などと合格点を下回る場合は間間あったのです。
そんな時はどうするか?『何だ59点か、では適性なし』 として不合格にする?そんな訳はありません。
どこかの項目の点数を上げて60点以上とし、適性検査合格としていました。
車の運転も同じですよね。いちいち点数を付けなくても、横で見ているだけで、『この人の運転は危ないとか、この人は安心して乗っていられる』 とか分かるではありませんか。

そこで提案したのでした。「点数を付けるのは止めにして、項目ごとに 良 ・可・不可 との判定をして、不可がなければ合格としませんか」 とね。
高度の保持や針路の保持と空中感覚(曖昧な表現ですが、結構重要そう)が同じ2点と言うのにも疑問がありましたので。
そして、提案が認められたのですが、不可との評価はよろしくないと言う事で、確か となったような記憶が。

この適性検査を担当していた時に、驚いたことが二度ありました。その一、
応募者の履歴書の中に女性の写真を発見した時でした。「最初の女性応募者ですか!」 と叫んでしまったのですが、この時の女性は落ち着いた安定感のある方で、我が国最初の女性ライン・パイロットに相応しい人材だと思ったのですが、採用に至らず、いま考えても痛恨の極みです。
では何故、適性不合格となったのか?「採用現場の考えと、企業トップの考えが一致していなかった」 と言っておきます。
その後の女性応募者の多くは、香水の臭いをプンプンさせたりスカート姿だったりと、適性検査に臨む姿勢としては疑問に感じられたのでした。うん?そう言えば堀北受験生もスカートで検査を受けていましたね。

もう一つの驚き、それは応募者の中にメガネをかけた人が居たことでした。
ドラマの中でも、「メガネ君」 などと言っておりましたが、我々の感覚では、メガネをかけた訓練生などあり得ないとの認識がありましたので。
私が訓練生の頃は、入社時には裸眼で1.0以上の視力というのが絶対条件でした。

そこで、適性検査を受ける人へのアドバイスを一つ。
検査の前に、飛行機の操縦に関しての説明がありますので、それを忠実に守ることです。例えば、
「高度を保持するためには高度計や昇降計を追わずに、機体の姿勢(ピッチ)に集中しなさい」 と言ったアドバイスですね。

最後に一つ注文。斉藤キャプテン、ドラマを面白くするためとは言え、チャラチャラするのは止めにしませんか。

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カイホ

仕事は弊社勤続30年
趣味の魚釣りは勤続45年
新人の採用にも携わっており、雰囲気でセンスは
わかります。

特に魚釣りでは船に乗り込む時点(釣りの作業に入る前)で
上手 下手 がわかります。経験的な勘ですね。

心苦しいのは、「この子は時間がかかるな」 と思った
人が、苦労してライン管理職に上がってきた時です。

よく努力してきたな と思うのです。
自分も昇格が遅れたタイプですので・・・。

ドラマの両キャプテン、冒頭の操縦時はボーイングですが
梅ちゃんのシュミレータ審査時はエアバス320でした。
これって 有 ですか?
by カイホ (2013-10-17 21:42) 

通りすがり

>冒頭の操縦時はボーイングですが梅ちゃんのシュミレータ審査時はエアバス320でした。
A350を購入する予定かもしれません。
by 通りすがり (2013-10-18 00:52) 

FD

仕事やスポーツなど、その人の上手下手はちょっと動いただけで分かりますね。
出来る人は何をやらしても様になっています。

シミュレータ審査時はエアバスでしたか!道理でスカートで大丈夫だった?
ボーイングですと、操縦桿を股で挟む必要がありますので。

現在、2機種乗務はやっていませんが、適性試験のために動かすだけでしたら
有りでしょうね。


エアバス320のシミュレータ。部屋の中においてあるだけで、モーションなどは
無いようでしたので、操縦訓練ではなく操作手順を習得するためだけの
簡易シミュレータだったのかもしれません。ビジュアルは必要?

JALがA350を大量に発注しましたが、787で懲りたのでしょうか?

by FD (2013-10-18 17:57) 

皮算用

どこかのインタビューで、ANAの社長も「つぎはエアバス」って、コメントしていましたよね。
JALがエアバスをA350を採用したことから、ANAがA350採用するとなると、イロイロな圧力が働きそうですが。
by 皮算用 (2013-10-18 22:33) 

FD

新聞に、「日本の航空会社がエアバスを大量導入すると米国が反発するだろう」
としてありましたが、純粋な民間の商行為、「反発する方がおかしい」 と
思いました。



by FD (2013-10-19 07:43) 

カイホ

JALは昔MD11で苦労していますし、787は相変わらず電気系統の
トラブルがあるようで、海外にて引き帰し便が続いているようです。

こうなると、各航空会社の「オプション発注ぶん」はキャンセルになる
かもしれませんね。

1度だけ搭乗したことがありますが コトコト といった振動が全くなく
(柔らかい翼が吸収するのでしょうね)足元も広く、窓のシェードも良好、
鼻も痛くならない(湿度保持)のでとっても快適なのですが。
by カイホ (2013-10-19 09:05) 

皮算用

JALが赤字のHACを、再グループ化すべく、動いているようですが、狙いは、HAC救済ではなく、羽田スロットの拡大狙いとか・・・。しかも、HACの赤字程度は、1スロットでペイする勢い。
民航から見ると、世界を相手にした生存競争なのでしょうが、官から見ると、民の資金を活用した地方交通の確保・・・と、なっているようです。

この種の力が、どう働くか・・・ですよね
by 皮算用 (2013-10-19 10:49) 

FD

MD11はいかにも安定が悪そうな飛行機でしたね。
787は基本的には優れた飛行機だと思いますので、使い込んで初期故障が
なくなれば傑作機と呼ばれるようになるかもしてません。
ただ、利用者の立場としては、初期だろうが何だろうが故障は真っ平と言うのが
当然の思いでしょう。


羽田の発着枠、ANAに優先的に配分されることになったようですが、JAL
は大いに不満。この先どうなりますか?
ただ、数千億の借金を踏み倒して、ほぼ同じ額の公的援助を受けた会社が
起訴も辞さないなどと、なり振り構わない姿には違和感を覚えます。
また、ジェットスター・ジャパンも88億円の最終赤字で、JALに支援を求めて
いるそうですが、自己資本が5億円まで減少し、債務超過の恐れがあるとか。
点検もれなどの不祥事が続くLCC、そろそろ化けの皮(失礼)がはがれて
来ましたか?


by FD (2013-10-19 16:09) 

SpeedBird

裸眼1.0未達はどんだけ努力してもパイロットだけはダメって防大の入試面接で言われた昔を思い出しました、人生イロイロの初体験でした。(笑)
by SpeedBird (2013-10-20 00:06) 

おん

JLはB8をなぜ国内線で飛ばさないんですかね?そして、国内線で極端にダウンサイジングをしているのも気になります。NHはB7を入れている路線でもJLはB3とかザラです。
と、愚痴はこの辺にして『ミスパイロット』乗務員移動用のバスでお客を乗せるのはアリですか?
by おん (2013-10-22 22:15) 

NEXUS

FDさん

御無沙汰しております。
JALの件ですが、一旦は公的資金を注入して再生させたものの、その後再上場時に融資額の倍近い額を国庫に納めていると認識しております。
文字通り「倍返し」ですね。
その後は、ANAよりも法人税の納税額が上回っております。

ジェットスターの件、JALに助け舟を求めている件は、私も?と思いますね。
もはや今のJALは、潰れそうな会社にホイホイ金を出すほどの甘ちゃんじゃないと思いますがね。
by NEXUS (2013-10-23 09:32) 

FD

パイロットの視力。車を運転できるだけの視力があれば十分だと
私は思っております。戦闘機乗りは別として。


JALのB8は国内線を飛んでいませんか?!ダウンサイジングをして
満席近くで飛ばすのが効率は良いのでしょうが・・・・・
乗員用のバスに乗客を乗せるのを含め、あり得ない話ばかりだったような。
・ 入社式の時に訓練チームが発表され、担当のキャプテンも決まる。
・ キャプテンが独身寮に住んでいる。等々
2階の出発フロアから地上へ乗客を降ろし、乗員送迎バスをヒッチハイクして
出発ゲートへ行き、また2階まで上がる。よほど時間が掛かると思いますよ。
私はてっきり、電動カートを使うのかと思いました。


そうですか。JALは法人税を免除されていると報道されていましたので、
まだ税金を納めてないのかと思っていました。
しかし、株券を紙屑にしておきながら、また再上場とは旧株主は散々ですね。
株主責任でしょうか?

by FD (2013-10-23 16:02) 

NEXUS

そうなんです。今は立派に法人税を納めるようになったようです。
株券に関しては、株主責任としか言いようがないですね。。。
投資は完全自己責任ですし、そもそも破産前から散々「潰れる」と言われていましたから。

B8の導入目的は、JALとANAでは全く違いますね。
JALは、老朽化した国際線用767の置き換えと、B7クラスの旅客数が見込めない就航地の開拓、一方のANAは、国内線用B6の置き換えがメインと聞いております。

JALの国内線の方針は、737-800多頻度運航によるダウンサイジングのようです。
以前はB6やA6を飛ばしまくっていた路線が殆ど737-800になっていますし、なんと羽田―伊丹のドル箱路線にも数便737-800運用が!
FDさんも馴染み深い羽田-広島便は、ANAはB8やB7を惜しげもなく投入する一方、JALは全便737-800運航という、2社の方針の違いが顕著に出ている例です。

ダウンサイジングのおかげでクラスJの予約がとても取り辛くなり、出張族にはあまり有難くない方針転換です。
まあ、多頻度運航化による増便は、スケジュールが組みやすくなって有難いですが。。。
by NEXUS (2013-10-23 17:32) 

皮算用

千歳発の地方路線だと、ANAはB3、JALはB3より小さいのをトバしていますよね。
この結果、日程が組める早期購入だと、ANAが10000yen近く安い印象があります。
JALは機材を小さくして、格安チケットを無くする方針なのでしょうね。

by 皮算用 (2013-10-23 20:39) 

FD

いちど破綻したJALはダウンサイジングで安全運転。
一方のANAは攻めの経営で、成長戦略を描いている。と言う事なのかも
しれません。

by FD (2013-10-24 19:48) 

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