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ユナイテッド B777 重大インシデント [航空関係]

前の記事で oldfogy さんが述べられているように、こんなにバラバラになって火を噴いているエンジンは初めて見ました。

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これを撮影した乗客は生きた心地がしなかったでしょう。いずれにしろ人的被害がなかったのが不幸中の幸いと言うしか言葉がありません。
ファン・ブレードは回転を続けていたように見えましたが、恐らく風圧で回っていただけだと思われます。
ハワイへ向かっていたそうですが、太平洋の真ん中じゃなくて良かった [パンチ]
このインシデントを聞いて最初に頭に浮かんだのが沖縄での JAL B777 との関連でした。
エンジンが同一なら直ちに運航停止になると考えたのですが、案の定 P&W PW4000 系でしたね。
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P&W PW4000 系エンジン。右下のエンジンは B727 等に使われていた JT8D ですが、
同じファン・エンジンでもファン・ブレードの径がこんなにも違います。
別の記事でも書いたことなのですが、一部を除いて米国製エンジンは前から見て左回り。英国製は右回りです。

今回のインシデントとは直接関係がないのですが、ジェット・エンジンの進歩には驚かされます。
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初期のターボファン・エンジンでは吸入した空気が殆どストレートに排気口まで達するのは、
排気ガスによる推力もある程度 (バイパス比1対1) 必要となりますので、その方が効率が
良かったのでしょう。
3.gif
一方最新のエンジンでは高バイパス比 (6対1) となっており、排気ガスによる推力よりも
ファンが生み出す推力を重視するために、低圧タービンで排気ガスのパワーを吸収する必要があったのでしょう。高圧コンプレッサーを駆動する高圧タービンは2段ですが、ファンを駆動する
低圧タービンは7段になってます。
もっとも、燃焼室直後にある高圧タービンは2段でも十分な回転力を得ることが出来るのでしょうが。
最後に、エンジンに関しては素人の考えであることをお断りしておきます。

インシデントの話しに戻って、気になるのはパイロットがどこまで状況を把握できていたのか?なのです。
エンジンが Separate した時には大きな音と振動があったでしょうが、火災警報は一瞬でも
作動したのか、したのであれば当然消火装置を働かせたでしょうが、その後はコックピット内で何らかの警報表示があったのか?振動は続いていたでしょうから、エンジンが異常な状態から回復したとは考えなかったはず。しかし、B747 を除くワイド・ボディ機は太い胴体に邪魔されて
コックピットからはエンジンが見えないのです。
9.gif
CA にエンジンの状態を聞いたのか、或いは客室まで行って自分の目で確かめたのか?色々聞きたいことがあります。状況はまもなく明らかになるでしょうが。

エンジン火災が発生した場合のパイロットの対処法ですが、下の写真、B777 のコックピットで説明しますと、火災発生を知らせる警報音と同時にセンター・スタンドにあります Engine Fire SW が赤く点灯します。
① Thrust Lever ・・・・・・・・CLOSE PF (操縦担当のパイロット)
② Fuel Contorol SW ・・・・・・CUTOFF PM
③ Engine Fire SW ・・・・・・・PULL PM
この操作で Fire Extinguisher が ARM され、関連する油圧・燃料バルブ、発電機などが切り離されます。
火災警報が続いているなら、
④ Engine Fire SW ・・・・・・・ROTATE(通常左へ)PM
30秒経過しても火災警報が続いているなら、次は右へ回して2回目の噴射。

以上は全てチェックリストは使わずにメモリーで行いますが、ここで重要になってくるのが
CONFIRMED ACTION と称される操作法なのです。
例えば ② の操作を行う時、PM は Fuel Contorol SW に手を添えながら「Fuel Contorol SW Right」とコールしますと、PF は目で間違いがないことを確認した後「Right Cutoff」とのコールがあって、実際に操作を始めることが出来るのです。その後も CONFIRMED ACTION に従って操作を続けます。
所で、Fuel Contorol SWITCH となっている訳は?
写真の Fuel Contorol SW の左横に在来型 B747 の Fuel Contorol LEVER を参考のために置いてありますが、単なるレバーなのです。一方スイッチの方は火災の時には Engine Fire SW と連動してライトが点灯しますので、間違えて正常なエンジンを止めてしまう恐れはまずあり得ないはずです。

9.jpg

ユナイテッド機。なぜ火災を消火することが出来なかったのか?エンジンがあれだけ破損すれば、消化剤を噴射する配管類も破壊されたでしょうし、噴射はエンジンとカウリング間の空間に行いますので、カウリングが殆ど無くなった状態では風通しが良くなって消化剤も吹き飛ばされ、殆ど役に立たなかったことでしょう。
B777 には図のように2系統の消化剤ボトルが装備されていますが、それを使い切ってしまったならそれ以上の対応は出来ないのです。4発機の B747 でも2系統のみ。
1.gif
一か八か急降下して速度を増加し、風圧で炎を吹き飛ばす方法もあることはあるのですが。
着陸する時には火災は消えていたようですので、燃料が途切れて消えたのかもしれません。

最後に余談を一つ。コックピット内での Engine Fire SW が置かれている場所なのですが、B727 の時代ではグレア・シールドと呼ばれる遮蔽板の下の最も操作がし易い位置でした。
その設計思想は理解できます。エンジン火災という重要は場面ではすぐに手が届く位置においていた方が安全であるとの考えだったのでしょうから。
しかし、その後に考えが変わりました。飛行機の一生のうちで最も操作する可能性が低いエンジン消火装置を一等地に置いておくのは不合理だと。上 B727、下 B777
そこで一等地には MCP (Mode Control Panel) と呼ばれる、オート・パイロットなどを操作する SW 等が置かれるようになったのです。
では、Engine Fire SW は何処へ追いやられたのか?B727 の次の B737/767 では B777 と同じセンター・スタンドに。B747 シリーズではオーバーヘッド・パネルへ。
1.jpg
私はオーバーヘッド・パネルが最適な場所だと考えるのですが、何でまた下に戻したのか理解に苦しむ。Engine Fire SW は天井にあった方が横にあるより楽に引っ張ることが出来るのです。
オーバーヘッド・パネルのスペースの問題かしら?

大事なことを忘れていました。Fuel Jettison (燃料投棄) のことです。
離陸重量が分かりませんが、離陸してすぐに引き返したようなので、燃料の消費量も少なく
最大着陸重量を超えていた可能性があります。通常のエンジン故障であれば当然 Jettison を
行って最大着陸重量まで機体重量を減らすのですが、今回の状況で Jettison を行うのは非常に危険です。
その為にもパイロットが客室まで行ってエンジンの状態を確認することが重要でしょう。
ただし、最大着陸重量以上で着陸するのは不可かと言いますとそんな事はなく最大離陸重量で着陸する場合には 360ft/min 以下の降下率を保つことと耐空性審査要領 (FAA 基準の丸写し) に定められており OVERWEIGHT LANDING の項目もチェック・リストに用意されています。
B777 のタイプが分かりませんが、-200LR であれば、最大離陸重量 766,000lbs / 最大着陸重量 492,000lbs となっています。
ボーイングによれば、6千フィート以上で投棄を行えば燃料は霧散して地上までは達しないそうです。




話は変わって2月22日は 竹島の日。
政府の対応は相変わらずで、首相はもちろんのこと閣僚の誰一人として式典に参加しない体たらくが続いてきた。
韓国は日本に対して傍若無人でやりたい放題なのに、日本の対応は韓国に気兼ねして超低姿勢。
米国の古い航空図とやらを持ち出して「竹島は日本領で間違いない」と言っていますが、そんなことで盗人が「ハイ分かりました、申し訳なかった」と言う訳ないだろう [パンチ]

淺卑新聞は以前「いっそのこと竹島を譲ってしまえば」などとぬかしていたが、そうだよ!
「竹島は帰ってきません、諦めましょう」と宣言したらどうだろう。しかし歴代の首相は死んでも口にすることが出来なかった。竹島を見限った首相として末代までの恥辱を受けることになるだろうから。
韓国が北朝鮮に原子炉を提供しようとしていたとの機密情報が公になって騒動になっているが、大統領が夢想しているのは、北朝鮮との統一を実現させ、核ミサイルを持った強国となって日本に跪かせること。
しかし気をつけな、両雄 (でもないか) 並び立たずのことわり通り、目障りになったアンタは粛清されるかもよ。
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oldfogy

NTSB(だと思いますが)が、発表した事故機UA328便(B777-200でエンジンはPW4077)のエンジン写真を見ると1枚のファン・ブレードが根元から折れています。経年劣化によるものではないかとも言われています。また、同じ日にオランダ・マーストリヒトを離陸したB747-400貨物機エンジン(PW4056)が大きく破損したインシデントもあり落下したエンジン破片が車等に突き刺さっていました。

昨年末のJAL905便 B777機(PW4084)のインシデントも記憶に新しく、未だインシデントに至った原因は特定されていませんが、矢張りファン・ブレードが複数枚破損しています。少し遡れば、2018年、UA1175便(B777、PW4077)がホノルル着陸45分前にファン・ブレードの脱落からエンジン・カウルとインレットの大部分が脱落していて今回のインシデントとほぼ同じエンジン・ダメージでした。其々、墜落にこそ至っていませんが同種インシデントが連続かつ多発しています。

PW4000エンジは同社の1つ前のJT9Dを元に開発された(GEのCF6と同じ性能を持つ)世界のベストセラーエンジンの1つで、B747シリーズ・B767・A300・330等極めて多数機に装備されています。P & W社はインシデントに至った原因を早期に突き止め再発防止の対策を早急に取らなければならないでしょう。

着陸進入時のエンジン出力は離陸時とは比較にならない低出力ですが、羽田南風時のRWY16への都心上空からの進入は本当に大丈夫でしょうか?羽田南風着陸時の問題は、ほぼ、騒音問題と一部航空評論家による急角度着陸による操縦の難しさに意見が集約されていました。私は最初から航空機からの落下物が一番大きな問題だと今でも考えています。それは、伊丹や福岡でも同じです。
by oldfogy (2021-02-24 09:51) 

FD

PW4000 系は多くの機種に採用されているようなので、混乱は大きい
でしょう。ただ、PW4000 系を装備している777 などの大型機は
コロナ禍で人間同様ステイホーム状態なので今のところ影響は少ないかも。
それにしても P&W はとんだミソを付けてしまいました。
今後、続々と登場する新型機に装備するエンジン受注競争に影響が出る
かもしれませんね。

RWY16への都心上空からの進入。便数が減っている現状での影響は
少ないでしょうが。
都心上空を飛行するのは怪しからん!との声に対して出てくるのが
「伊丹や福岡はどうしてくれる」でした。

by FD (2021-02-24 17:23) 

oldfogy

ロシアのB777が緊急着陸しました。エンジンはGEです。暫くはB777で何かあると注目されてしまいます。

いい加減eVTOLを「空飛ぶタクシー」との表現はやめて欲しい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d2013f8babeea13aef5b1d070a5f19de27a0113?page=2
by oldfogy (2021-02-27 14:14) 

FD

GEお前もか!ですね。しばらくは 777 には乗れないか。
ETOPS 180 分は大丈夫でしょうか?
「空飛ぶタクシー」と呼ばれる乗りものが頭の上を飛び回るなど
想像も出来ません。
上を向いて歩く人が多くなり、溝にはまる人が増えるかも。



by FD (2021-02-27 17:19) 

muv

oldfogy様
以前ヤフコメにてレスさせて頂いた者です。
航空関係のスレッドに関してじっくり拝見させて頂きました。
現役を退かれても、飽くなき探究心で色々論じられてて。ホント尊敬しかない大先輩です。
当方は、某社にて機長を昨年よりしております。まだ駆け出しの機長です。
oldfogy様並びにFD様は同僚の御関係だったのでしょうか?
若輩者ではありますが、今後とも何卒宜しくお願いします。
またお邪魔させて頂きます。
by muv (2021-03-03 01:22) 

oldfogy

この「人気サイト!」をご紹介して良かったと思います。

FDさんとはもう40年以上にわたるお付き合いです。30代に私達(駆け出しのYS11副操縦士)が東急田園都市線の市ヶ尾(私)と青葉台(FDさん)の貸住宅に住んでいたのがキッカケで草野球のチームも一緒でした。私が海自からきたので数歳年上ですが会社の諸訓練はほぼ同じで私が少し早いクラスでしたが、B747-100の訓練では同じでした。会社の元同僚とネットとはいえ今でも日常的にお付き合いがあるのはFDさんだけです。

FDさんは車とバイクに関しては玄人はだし(iPhoneは馬鹿です。玄人はだしが書けません)です。二人とも飛行機は今もって大好きなのとかなり「RIGHT」が肌があうのでは?と勝手に思っています。
by oldfogy (2021-03-05 13:42) 

oldfogy

https://news.yahoo.co.jp/articles/76beed46942dbc66476bc64c62779d06e30e6b21

PW4000は基本的には3種の派生型があり、PW4000-94, 100, 112に分かれています。其々の数値はファンの直径を表しています。-94はB747-400、-112はB777に装備されています。

エンジンには素人ですが、-112以外ではファン・ブレードが破断したインシデントを知りません。-112のエンジン直径はB737の胴体と同じ大きさと当初宣伝されていました。ファンの素材/強度に無理があった?と考えるのは矢張り素人でしょうか。なお、B777装備エンジンの素材は、PWは金属でGEは強化炭素繊維と聞いた覚えがあります。違ったかな?(笑)

新しい機種を選定する場合、機体の値段のほぼ4割がエンジン費用なのでどのエンジンを積むかが最大のポイントです。PWはGEに比べて安く、PWのエンジン5基とGEの4基がほぼ同額と青い尻尾のベテラン整備士さんから聞いた覚えがあります。

余談ですが、B747-400に装備されていたPWはエンジンカバーの外板がGEに比べてかなり短く「不細工」なエンジンだなと感じました。B744はエンジンを見ればGEかプラットが直ぐ分かりました。

FDさんも私もエンジン・コントロールにEPR(PW)を使った飛行機はB727だけで後は全てN1(GE)でした。
by oldfogy (2021-03-07 09:08) 

nobody

2005年頃、PW4000で硫化腐食により高圧タービンブレードが折損する事象が発覚し、A社もJ社もその対応で大騒ぎしていました。
https://blog.goo.ne.jp/boeing777-346er/e/f6cbfc5031183971287a32873fbbd52c

こういう点を見ても、信頼性ではやはりGEに軍配が上がるように思います。一乗客からすると、GE90の轟音よりPW4000の音の方が良いのですが。A社のプレミアムエコノミーは翼上なので、エンジン起動したときの轟音に驚き、スポットインしてエンジン停止するとあまりに静かになるのに驚きます。
by nobody (2021-03-07 21:40) 

oldfogy

大変よく分かる解説のご紹介有難うございました。

上記解説によると、ある時期以降のPW4000のタービン腐食問題は解決されているとは言え「タービンよお前もか!」と言いたいですね。飛行中でのエンジン停止(IFSD)は殆どのエアラインパイロットが生涯経験する事は無いくらい(私は1度) 頻度は稀です。それが、タービンの腐食やファンブレードの金属疲労による破断が多数回発生しているのは大きな問題と言わざるを得ません。タービンの腐食を定期的な点検とは言え発見出来たのは日本の整備体制/整備士の優秀さを証明しています。

B777のETOPS180は本当に大丈夫ですか?一発になったら残りのエンジンの負荷は増します。
by oldfogy (2021-03-08 09:13) 

muv

oldfogy様
早速の御返信ありがとうございます。
YS11や727にも乗務なされていたのですね[ムード]
ホントに羨ましい限りです。
僕は、たった半年間程でしたがA330と、ほんの数年767、キャリアの大半は737-800の操縦士であります。
もし宜しければなのですが、FD様oldfogy様の長い長い操縦士経験(乗られた機体や経験談等)を、こちらでお話してくださると幸いです。
何かお二方の御関係を勝手ながら想像させて頂いたのですが、同じ釜の飯を食った者同士、良い距離を保たれて、ずっと仲良しでおられるのだなと、羨ましくも思います。
by muv (2021-03-09 02:48) 

FD

muv さん、oldfogy さんの紹介でいらっしゃったとか、
ありがとうございます。
昨年から機長としてフライトしていらっしゃる。羨ましいです。
oldfogy 元機長は永く訓練畑におられましたので、為になる情報を色々と書き込んで頂いています。
こちらこそ宜しくお願いいたします。最新の運航方式などをご教授ください。

oldfogy さんと訓練をご一緒したのは B747 だったでしょうか?
35年前の話になります。
その後、先に移行された -400 についても色々と教えた頂きました。
oldfogy さんが住まわれていた市が尾。駅前から1本裏道に入りますと
閑静な住宅街でゴミゴミした青葉台とは大違い。そして今の最寄り駅が
市が尾なのです。
私も LEFT は大嫌いです、日本を滅ぼすと思っていますので。

nobody さん、私はGEのN1セッティングが大好きです。B727 の
EPR はコントロールしにくくてパワーのセットは Fuel Flow で
やってました。
ジャンプ・シートに乗ってきた外国人FEが GE CF-6 は
Good Motor だと言ってました。

経験した機種は、YS-11(最悪の機体) / B727(ポンコツの軽自動車から
スポーツカーに乗り換えた気分) / 在来型 B747 / その後NCA /
熊本でシャイアンの教官。最後は最高の飛行機 B747-400 でした。
4発も含めて全てに余裕のある機体でした。B777 に移行した人が言って
ました「777 はポンコツだ」と。
コロナ禍が治まったなら一杯やりたいですね。

by FD (2021-03-10 22:30) 

Gen.Lee

乗客の立場ではYS-11はいい機種でした。
対馬の着陸は、ほっとしましたが。
B727の離陸、上昇は加速感がすごかったし
上昇も短時間でした。
rjtt便のrjffの午前の空席待ちが多く、そこに
青尾のトライスターが来ると、あらかた乗せて
飛んでくれたので、助かりました。
静かで広々の機内、よく寝ました。


by Gen.Lee (2021-03-11 10:26) 

oldfogy

YS11の思い出

操縦者からすると(航空ファンには)名機とされているYS11は「迷機」でした。上昇性能の悪さ、結果として最高巡航高度の低さが致命的でした。当時青いシッポはYS11に変えて行く途中でオランダ製のF27というYSより一回り小さい飛行機が少数機残っていましたが17-8000を飛んでいて羨ましかった。日本の冬は、雲頂14-15.000フィート位の積雲系天候がよくあります。規則で14,000は飛べないため羽田から西行きは最高でも12,000、中国地方からの帰り便(の東行き)なら最高13,000で雲中飛行=揺れが激しい=でお客様は大変だったと思います。私がYS11の副操縦士に発令された頃のYS就航路線は羽田から大島・三宅島・八丈島の所謂離島路線(現在は、大島・三宅路線は羽田では無く調布から中央航空=ナントNCA=がドルニエ機で運航。一度乗ってみたい)、旧秋田、富山、和歌山・旧岡山・旧高松・高知・旧広島・米子・宇部がありました。オー・ローカル。中国地方への飛行で冬晴れのような天候では西風が強く浜松あたりの平地を飛んでいると新幹線にも良く抜かれまし。後、大阪-高松/高知や旧名古屋から和歌山・福井経由小松便。変な路線として、羽田-八丈島-旧名古屋。八丈島-名古屋は殆ど空便でした。名古屋から八丈島には「魚釣り」しか乗らないので搭乗ゼロや1が何回もありました。名古屋-八丈島は大株主の名鉄の要望だったと聞きました。この乗務パターンは面白くて、1日目が羽田-八丈-名古屋(泊)、2日目が、名古屋-福井-小松-福井-名古屋。福井-小松の飛行時間は北風だと、福井を離陸して1000フィートでレベルオフ。そのまま真っ直ぐにに小松着陸。飛行時間5分。その間、ギアとフラップを上げアフター・テイク・オフチェックリスト。終わったらそのままアプローチ・チェックリスト。フラップとギアを出してビフォー・ランディング・チェックリストで着陸。この文を書く時間の方が何倍も掛かります。機長と副操縦士の連携が上手くいかないと無茶苦茶なフライトになってしまいます。

たった20年もたたないうちにB747-400の機長でニューヨークやロンドン・パリに行ったなんて本当に夢物語です。

福岡-対馬便は1クルー(大阪乗員のパターンなので私は飛んだ事がありません)で1日2往復する矢張り忙しいフライトパターンです。ある私の海自先輩が飛行高度を次の便と間違えて飛んで大目玉を頂いた事がありました。当然、チョンボに対する再訓練・審査が終わるまで飛行停止です(笑)
この方は大阪-那覇便(B737)で副操縦士共々、鹿児島VOR通過を見逃し本来なら鹿児島上空で左旋回し那覇に向かうところそのまま真っ直ぐに飛び続けレーダーから「何処に行くのか?」と聞かれ慌てて左旋回。二回目の飛行停止になりました(笑にもなりません)。今なら、二回目の飛行停止で副操縦士に降格ものです。全て、古き良き時代でした。

muvさん、自慢話にならないよう気をつけて思い出をタマに書いてみます。
by oldfogy (2021-03-13 07:24) 

MUV

FD様oldfogy様偉大なる先輩方
貴重なお話ありがとうございますm(_ _)m
自慢で結構です[ムード]もっともっと沢山のお話をお聞かせくださると幸いです[わーい(嬉しい顔)]
僕は、呑みに行ったりすると、操縦士に見えない!と言われます[あせあせ(飛び散る汗)]
操縦士は、もっと高飛車でツンケンしとるモノだと思われているみたいで[あせあせ(飛び散る汗)]
空自にもYS11は今もって運用されていますが、僕は操縦した事はありませんし、搭乗した事もありませんので、操縦されたお二人もコメントにありました、乗客として搭乗された方も、ホントに羨ましく思います。
それにしても、YS11の巡航高度の低さに驚きました[わーい(嬉しい顔)][あせあせ(飛び散る汗)]
727の操縦の事も、-400の事も、もっともっと詳しくお話くださると幸いです。宜しくお願いしますm(_ _)m
by MUV (2021-03-17 00:38) 

FD

>乗客の立場ではYS-11はいい機種でした。
ですか・・・
夏は暑くて冬は寒いキャビンではなかったでしょうか?
それに窓の位置が低すぎて、外を見ていると首が痛くなった?とか。

ファイブ・アイズ。
英国・仏などが日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」に関わる
意思を見せているのは大歓迎です。習近平、世界中を敵に回す覚悟は
出来ているのやら。
数年のうちに中国は内部から崩壊する気がしますし、強く期待しています。
今回の日米豪印の連携協議。産経・読売・日経は強く支持しているにも
関わらず「中国砦の三悪人」淺卑・頭狂・マイ日は社説にもでも触れなかった
とか。
彼らの常套手段。一応中国を非難するような態度を見せながら、社説の
最後では「日本も云々」と、お決まりの日本政府非難で締めくくり
日本も悪いとの強い印象を残そうとしている。

YS-11 に良い思い出はありませんが、なにしろピカピカの副操縦士?
語り尽くせぬほどの経験をさせて頂きました。
そう言えば、羽田-大島の路線で弁当を食えたなら一人前だと言われ
ましたね。



by FD (2021-03-18 22:02) 

Gen.Lee

ys11は、福岡から対馬までの30分ほどの飛行
翌日は郷ノ浦から壱岐、福岡までの航行、窓から
海面を眺めていました。
離陸、あっという間の着陸、コクピット内は大忙し
でしょうね。
5月でしたので暑い、寒いはありませんでした。
対馬の着陸は恐怖でした、うまく着陸するものだと。
まだ、5000年の文明、100年の屈辱なぞといううところ
は、それなりの対応。


by Gen.Lee (2021-03-19 10:27) 

oldfogy

YSの思いで-2

>乗客の立場ではYS-11はいい機種でした。

>夏は暑くて冬は寒いキャビンではなかったでしょうか?それに窓の位置が低すぎて、外を見ていると首が痛くなった?とか。

FDさんもYS11には飛行機としては良い印象はあまり無いようで「安心しました」(笑)特に冬の寒さは格別でしたが私は長袖のYシャツは1度も来たことがありません。冬でもYシャツ代わりに夏の半袖制服を着ていました。戦争生き残りの将棋大好きのI(アイ)キャプテンはとても寒がりで夏以外はパッチを履いていました。ある冬のフライトでIキャプテンとご一緒した時、コクピットに座り上着を脱いで半袖シャツになったら「君、その格好何とかならんか。見ているだけで寒気がする」と叱られました(笑)」。このIキャプテンはかなりの変わり者で首都高を走る時送迎のドライバーに「XX台追い抜いたら "これあげる" と1000円札をヒラヒラさせることもあったそうです。お嬢さんがデス(当時青い尻尾は客室乗務員をスチュワーデスと呼んでいて私達は短縮して"デス"と普通に呼んでいました)をしていてYSに乗務する度ブリーフィングが終わって最初に発する言葉が「父がいつも皆さんにご大変なご迷惑をお掛けして申し訳ございません」でした(笑)IキャプテンはATCが苦手で宇部便に乗務した時、岡山通過後暫くして私がトイレにたって帰ってきたら「君、ATCがナンカ言ってる」と言われ立ったまま慌ててヘッドセットを着けたらATCが盛んに呼び出していました。「何回も呼んだのにどうしました」と言われたので「受信機の調子が悪いようです」と誤魔化しました。Upn reaching Ube, cleared for ADF approch" でした!ATCが出来ないので操縦を副操縦士に任せる事は無いので一部のコーパイは嫌っていましたが私は大好きでした。愉快な方でしたから。YSはある速度以上の早いスピードで滑走路末端TTSを通過するとNose gearから接地する可能性が高いので(数値は忘れましたが)ある速度以上でTTSを通過するとゴーアラウンドが義務付けられていました。その為、副操縦士はTTS通過速度をコールアウトしなければなりません。IキャプテンのTTSは常に "One-ten" (110kt-本来ならゴーアラウンド)で接地は見事な3点着陸でした。ゴーアラウンドしていたら永久におりられません。ADF app のベースターンは常時40度。副操縦士の義務であるので"バンク" とコールすると「そうか」と返事され戻すバンクは10度。この2種類しかバンク角はありません。40と10度を上手く組み合わせるようにコールしInboundに上手く乗せるのが副操の腕でした。基本的には降りる場合は「キャンセルIFR」で6マンスチェックはYSの主席査察しか担当しません!同期生は皆んなL10やB2/3でしたがこの方は終世YSで「良い時代」でした。
by oldfogy (2021-03-20 07:04) 

FD

私も支給されるシャツは全部半袖にしてました。
暑がりな事もあるのですが、香港シャツとも呼ばれていた半袖シャツ。
上着を着ない前提のシャツだと思うのですが、長袖シャツは違っていて
上着を着ないとドレスコード違反?でサマにならないと考えての事でした。
Iキャプテン、あの方でしょうか?確かに一緒に飛ぶ時は「今回は ATC 専門か」と諦めたものでした。
アプローチ・ブリーフィングでは「ゴーアラウンドしたらクルッと回って引き返す」でした。
TTS (今で言う Vref) は確か 90~95kt でしたね。
記憶によれば FLAP 20 / 120kt でアプローチしてきて 500ft で
FLAP 35、そこから20kt 以上減速しながら着陸するのですから結構
難しい飛行機でした。
YS-11 での着陸時のこと。雨で滑走路が濡れていたのですが、操縦桿を
引いても引いてもなかなか接地しない。その時キャプテンから
「ナイスランディング」との声が。接地したことに気が付かなかったのは
生涯に一度、あの時だけでした。恐らくハイドロプレーニング現象が
起きていたのでしょう。


by FD (2021-03-20 19:27) 

oldfogy

YSの思いで-3

機長昇格訓練は私達の時代はATPL取得と昇格訓練は別でYS11で行われていました。B727副操縦士の私は伊丹でSIM、熊本で実機訓練とCABの試験を受けましたが、この時代のYSのSIMはビジュアルもなく本当に単なるプロセジャー訓練機に近いものでした。

熊本でのTGL訓練で最初に驚いたのはB727との違いで気流が悪い時特にFinalではラダーに悪い気流が直接感じられラダーが勝手に動き両足の裏にゴツゴツと当たりハイドロ無しの飛行機を実感しました。2ホップ位で着陸はほぼ出来上がっていてL10からYSに移っていた教官もご機嫌でしたが、しかし、そこから全く伸びがなく何をやっても上手くいかず悩んでいました。教官も「YSを舐めてんのか」と段々ご機嫌が悪くなりました。CABの試験が控えているのに舐めている訳は無いのですが矢張り気が緩んでいたのでしょう。

1980年くらいのYS路線に羽田-大島-三宅-大島-羽田があり私達はチョンチョン便と揶揄していました。大島も三宅も離島空港で冬の風の強い時は横風制限オーバーによるキャンセルが多発します。しかし、三宅は大島より遥かに気流が悪かった。これは空港の立地によります。大島は島の西に空港があり冬場はまともに西から北西寄りの風が卓越します。三宅は島の東南東に空港があり冬の強い西風は島をぐるっと回って東側にきます。つまり島の北を回った風と南を回った風が東側で合流し、ほぼ南北の滑走路はどちらを使っても追い風になり降りられない事もありました。また気流も極端に悪くなります。

三宅がキャンセルになっても大島が降りられる場合、これは楽しみでした。大島に降りた後、大島から三宅往復がなくなりますが定期便なので復路の大島-羽田まではかなりの時間があり会社の車を借りて寿司屋に行くのです。寿司屋の大将も分かっていて見慣れない客が昼間から寿司を食べに来ると「三宅はキャンセルなの?」と笑っていました。矢張り、旧き良き時代です。
by oldfogy (2021-03-21 08:03) 

Gen.Lee

岡田の、あの鮨屋でしょうか。
確かに大島価格が嬉しい店でした。

by Gen.Lee (2021-03-23 10:23) 

oldfogy

う〜ん、元町か岡田か?覚えがありません。忘却の彼方です!
by oldfogy (2021-03-23 20:37) 

FD

私が ATPL を取得した時に乗務していた機種は B747 でしたので
YS-11 との目の高さの違いに苦労しました。
しかし今考えれば、最も精気あふれて充実していた時期かも知れません。
三宅便の欠航。一度だけ経験しました。クルー4名、車に乗せられて
三原山観光に出かけ、帰りには椿油を抽出するお店に寄った記憶が
あります。すし屋のことは知りませんでした、残念。

アンカレッジでの中国のもの言い、全ては国内向けのパフォーマンスだったようですが、それだけ習近平政権が追い詰められいる証拠かも
知れません。習近平は軍部をどれだけ掌握しているのか?
ところで台湾情勢が緊迫しているようですが、中国の台湾侵攻が近いとすれば、日本も安泰とはしていられないでしょう。
平和ボケの日本。国民はどれだけの覚悟が出来ていることか?

by FD (2021-03-27 22:34) 

MUVことTangTang

三宅島の古き良き時代のお話ありがとうございますm(_ _)m
FD様、もし宜しければなのですが、こちらトリプルセブンのインシデントのカテだと思うので、思い出話のスレッドをお作り頂けると幸いでございますm(_ _)m
現在進行系の僕ではありますが、一応操縦士歴25年ありますので、僕なりのもお話させて頂けたら幸いですm(_ _)m
by MUVことTangTang (2021-03-30 00:00) 

黒猫

MUVことTangTang
がお世話になっております☆

初心者です[あせあせ(飛び散る汗)]
よろしくお願いいたします[あせあせ(飛び散る汗)]
by 黒猫 (2021-03-30 00:31) 

outlook

RNV-2

FDさんや私が現役時代の計器進入方式は2種類に分類されていますが今は3種類で、
 ・精密進入 (ILS, GCA)
 ・APV (Approach Performance with Vertical
guidance, APV/Baro-VNAV , RNP AR, LPV) - DA
が公示される)
 ・非精密進入 (VOR, RNAV, RNP 等)
となります。

日本の空港は地形の関係上ILSが設置されている滑走路の反対側滑走路は直線的な進入が困難なためVORや各種RNAV進入が設置されRNAV ARは極めて安全かつ有効な進入手段です。しかし、進入のある部分が曲線になりこの曲線はRF LEGで作成されるため現用のかなりの飛行機は対応できません。私が青い尻尾後乗務したCRJもRF LEGを飛行する機能はありませんてました。一般のFMSは2地点間を直線で飛行しますが、それでは阿蘇山のような山間部は飛行できません。山に当たらないよう曲線で飛行しなければなりませんがその曲線になるトラックを作るのがRF LEGです。RF LEGは「円周」で作成され半径が公示されてます。つまり、RF LEGは地面に対して常時物理的に定点を飛行でき山岳に当たらないような飛行が可能になります。RNP AR は、簡単、かつ、やや乱暴にあえば、RNAV(RNP ApproachとBaro-VNAV の組み合わせです。

米国で多用されているLPVはILSと同様直線的な進入になり、全米13,500空港 (! 日本は全国で175です) のうち3969 (2019年)の滑走路に使用されILSと同様に使用されていてLPV-200進入は200-800のミニマなのでILS CAT-I とほぼ同等な進入が可能となります。必要な機上装置はSBASのみでFMS搭載機なら全く問題ありません。私が某大学の学生訓練に使っていたセスナ社のC172S型機もSBASは受信可能です。

GPSは単独では航法援助装置にはならず必ず補強 (Augmentation) しなければなりません。その補強には 機上でRAIM予測による補強ABAS, 衛星による補強SBAS, 地上からの電波による補強GBSがあります。RNP ARの航法精度0.3未満の運用にはSBASは必須であり全世界で使用されているSBASは米国のWAAS、日本の MSAS、欧州の EGNOSであり、どの地域を飛行していてもこの3種の電波が受信可能範囲内なら何の操作も必要なく自動的に受信されます。アジアの大国もこと航空先端技術では大きく遅れをとっています。
by outlook (2021-04-01 15:41) 

oldfogy

なんだか間違いだらけで御免なさい。

「RNAV-2」の投稿はoldfogyです。
by oldfogy (2021-04-04 08:12) 

FD

いろいろな方にコメントを頂いて、戸惑っているところです。
RNAV-2 の話題、ありがとうございました。
所で全く違う話なのですが、B777 から B787 への移行訓練が
航空局の航空安全基準アップデイトプログラムの概要によれば、
【B787の操縦系統の機器・システムは、B777との高い共通性が強く
意識して設計されている。機長がB777からB787に移行する際の技能証明、
機長認定等に当たって、安全性が確保できる範囲で試験・審査を省略
できることとすることにより、B787導入当初からスムーズな機長確保。
を可能とする。】
となっているのですが、何と、何と!777 と 787 の2機種乗務が
解禁されたそうです。ただし話を聞きますと「けっこう違う」との
事でした。規制緩和も結構ですが、やり過ぎは困ります。
これも全ては米国に追従なのでしょうか?

by FD (2021-04-06 21:45) 

oldfogy

青いシッポがその当時(1970年頃)実施していた2機種乗務を取りやめたのは明確な理由がありました。
上位機種(当時の言い方)であるB737/727から下位機種のYS11に指導操縦士として「降りていた」機長が2回も事故を起こしたからです。これら指導機長は、月間、確かな数値は忘れましたが多分「4 landingだったか8回だったか」を元機種であるB737/727で実施し他の大部分の乗務をYSでの指導業務としていました。
そんな時代、最初のインシデント(当時はインシデントと言う言葉はなく事故扱いとしていたと思います)は大島でのオーバーラン、ついで、高松でのランウェイ・クリア時のオフ・ランウェイでした。このオフ・ランウェイを乗員は(気がついていたのに)その事態を報告をせず整備士の飛行後点検で車輪に泥が付いている事を発見した事により明らかになり大きな問題になりました。滑走路転換で一部のランウェイ・ライトも破損していました。当該機長は厳重な処分を受け、会社は2機種乗務を取り止めました。

私は、青いシッポで一時検討された旧型B747とB747-400の2機種乗務も積極的ではありませんが「安全に出来る」と考えていたので類似機種の2機種乗務に積極的ではありませんが「可」と考えます。しかし、機長の負担は当然多大に増えます。そのケアが大切だと思います。
また、過去の経験をどうクリアしたのかも気にかかります。テレビで見る限りでは787と777の接地のAttitudeがかなり違うように感じます(787の接地角度がかなり低く感じます)。加えて、当該機長の自覚も。このような乗務方法を採用する場合、FAAのFSB (Flight Standardization Board) report が一番参考になる筈です。当然、青いシッポも当該レポートを大いに参考にしたと思います。
by oldfogy (2021-04-07 20:13) 

oldfogy

「遼寧」が沖縄・宮古島間を通峡。中国海軍の空母がまたも日本近海へ「挑発行動」…わが国の防衛に「必要なもの」

 防衛省統合幕僚監部の発表によると、4月3日に中国海軍の空母「遼寧(りょうねい/CV-16:65,000トン)」を中心とする6隻の空母艦艇群(グループ)が東シナ海から沖縄・宮古島間を通峡(南下)して太平洋へ進出した。

【写真】習近平も青ざめる…中国の尖閣侵入に「日本のマジな怒り」を見せる方法

 同グループがこの海峡を通峡するのは、2020年4月(南下)以来であり、初めて通峡した2016年12月(南下)から、2018年4月(北上)、2019年6月(南下)と合わせると通算で5回目となる。即ち、「遼寧」を基幹とする空母グループは、2018年以降年1回のペースで同海峡の通峡を兼ねた太平洋への進出及び外洋での演習を恒常化させているということだ。

 これらを見ると、拙稿「中国の空母『遼寧』が日本近海通過、その事実が暗示する恐ろしい未来」で予想した通り、中国海軍は北海艦隊において空母打撃群(CVSG:Carrier Strike Group)を編成し、外洋における運用能力を着実に向上させてきていると見なければならない。

 今回の空母打撃群の編成は、空母「遼寧」のほか、これを護衛する戦闘艦艇として、レンハイ(ミサイル巡洋艦13,000トン級)1隻、ルーヤン3(ミサイル駆逐艦7,000トン級)2隻、ジャンカイ2(フリゲート艦4,000トン級)1隻の4隻。

 そして、2019年(3回目)以降新たに加わった空母用の最新型補給艦である「フユ級高速戦闘支援艦(AOE-965:48,000トン)」の計6隻であった。過去4回と比較してその規模に変わりはないが、今回注目しなければならないのは、戦闘艦艇の主力に、昨(2020)年1月に就役したばかりのレンハイ級ミサイル巡洋艦「南昌(なんしょう)/CG-101:13,000トン」が加わっていたことである(参考)。

 この「南昌」は、レンハイ級の一番艦で、中国海軍はこれを「055型駆逐艦」と呼称しているが、満載排水量13,000トンという大きさとルーヤン3(大型駆逐艦)の倍近い112基もの垂直(ミサイル)発射装置(VLS)を搭載し、長射程の対地巡航ミサイルなどを発射できることなどから、米国防総省は本艦就役前の2017年5月の年次報告ですでにその艦級を中国初の「ミサイル巡洋艦(CG)」と位置付けているものである。

 今年3月には、この「南昌」が他の戦闘艦艇(ルーヤン3及びジャンカイ2)を伴って初めて日本近海に出現し、対馬海峡を北上して日本海に入り、1週間ほど日本海で活動して帰航した。

 この時随伴していた「ルーヤン3:DDG-120」と今回の空母グループに加わっていた「ルーヤン3:DDG-120」が同一艦であることから、この日本海での活動は、今回の空母打撃群による作戦行動(演習を兼ねた戦略的示威行動)の事前訓練を兼ねた、わが国への示威行動であったものと思われる。
by oldfogy (2021-04-09 13:15) 

FD

B727・737/ YS-11 の時代には俗な言い方ですが、操縦は輪っぱ回し
でしたので2機種乗務もある程度可能だったのでしょうが、現在は FMS
全盛。コンピュータの操作には高度な熟練が必要で、日替わりでの2機種
乗務は間違いを起こしやすいでしょうね。

何チャって空母の「遼寧」、中国が本気で尖閣を取りに来た時
海上自衛隊の潜水艦部隊で一網打尽とはいかにでしょうか?
中国の対潜能力をどの程度と思われますか?いずれにしろ中国の空母の
ジャンプ台からは重装備した戦闘爆撃機は離陸できないと考えますので
しょせん張り子の虎ではないでしょうか。
しかし気になるのは、中国が開発したという米空母を狙える超高速
対艦ミサイルなのですが。



by FD (2021-04-14 20:00) 

oldfogy

FDさん、難しいご質問です(笑)政治軍事「オタク」の勝手な見立てです。

何処の国の海軍も潜水艦の運用は秘中の秘で海自にいても潜水艦隊が何をしているかはよく分かりません。しかし、一般論で言えば、海自は量を除けば質的には米英共々世界一流の海軍です。劣る点は原子力艦・正規空母・弾道ミサイル原潜の保有が無いくらいでしょうか。今年アジアに配備される仏独海軍より遥かに上だと思います。独海軍は量的にも問題になりません。
中国海軍の戦略的目的は、(アメリカが言う) A2/ADで専ら米空母撃滅が目的です。つまり、対潜戦 (遼寧を狙う「そうりゅう」阻止) に力を入れている訳ではありません。しかし、今後は自国空母群の護衛のため対潜戦に力を入れてくるでしょう。Anti-Access(接近拒否)は第一列島線内で主力は基地兵力が担い、Area Denial (領域拒否)は第二列島線内を主として弾道ミサイルを使い米空母を狙います。

日本の政治家(や学者)の決定的な弱点は政治と軍事は別物としか見ません。このA2ADは、かつて、台湾総統選で李登輝氏の勝利が決定的になった時中国は台湾西部沖に弾道ミサイルを撃ち込み強烈な圧力をかけました。時の大統領クリントンは西太平洋にいたニミッツとインデペンデンスの2個空母打撃群のうちニミッツ打撃群を台湾西部海域に派遣、更に大西洋から1個空母打撃群を同海域に派遣しました。中国は手も足も出せずただ傍観するのみ。この屈辱を忘れないのが中国でその点は大したものです。その教訓から陸軍国であった中国が海軍戦略の大増強をはかり、現在では隻数のみに限れば米海軍を凌ぎ世界最大の海軍国となっています。

本題の「そうりゅう」は遼寧を撃沈出来るか?細かい事を除いて結論を言えば極めて高い確率でそんなに困難なく「できます」。「そうりゅう」が遼寧を狙うと言うことは中国海軍は「そうりゅう」に対して対潜戦を行う訳です。前述の通り、中国海軍は対潜戦の経験は現時点では極めて乏しいと言わざるを得ません。少し前、遼寧艦隊が西太平洋に出て行きましたが訓練目的には「遼寧を護る」対潜戦も重要な課題でしょう。中国海軍の測量船が盛んに日本近海に出没つしているのはまさに潜水艦の行動を担保するためと対潜戦の海洋調査です。電波は空中を真っ直ぐ進みますが、海中での音波は直進せず「屈折」します。あらゆる海域で調査し水の性質データを蓄積しないと潜水艦の行動は制限されまた持っている能力も発揮できません。少し前に起きた海自潜水艦と民間船の接触が図らずも証明しています。

尖閣戦争で遼寧は果たして出てくるか?(アメリカが約束を果たせば)日米海軍相手の海戦なら遼寧は瞬時に撃沈されるでしょう。来ない公算が高いような気がします。万が一、出て来たとき遼寧を撃沈したら中国は沖縄を含めて日本本土への攻撃を行う可能性が極めて高く日本の政治家がそれでも遼寧撃沈指示を出せますか?
もし、アメリカが裏切れば尖閣戦は日本国民に重大な決断を迫ります。大都市を含む中国のミサイル攻撃を覚悟するか、尖閣を取られるかのどちらかです。尖閣が取られる時は台湾も占領されてしまいます(アメリカの裏切りの結果です)。クアッドの解消です。

海自の現時点での潜水艦保有計画はそうりゅう型12隻を深めて22隻。そうりゅう型でも11番艦以降はリチウム電池搭載になっています。そうりゅう型以降は「たいげい」型に置き換わりますが建造隻数は未定です。「そうりゅう/後継型たいげい」は原子力潜水艦を除けば世界最高水準の才能を保有していると言われています。22隻の保有なら第一線配置につく潜水艦は8-10隻くらいでしょうか。22隻保有では極めて不足です。

余談ですが、オーストラリアの新型潜水艦選定は「そうりゅう」と仏潜水艦で競われましたがオーストラリアは仏製を選択しました。潜水艦自体の性能は勝るとも劣らないと確信していますが、米露に次ぐ武器輸出大国フランスにしてやられたのでしょう。日豪間の安全保障の為にも「そうりゅう」型をオーストラリアに選択するように日本政府は働きかけるべきでした。極めて大きな失点です。アセアン諸国も潜水艦保有計画がありますが、「そうりゅう」型保有は荷が重いと想像します。
by oldfogy (2021-04-17 07:01) 

FD

自衛隊が保有する通常型潜水艦の利点は原潜に比べて騒音が少ない点だと
聞いています。
しかし、仰るように日本の排他的経済水域において中国がなり振り構わず
海洋調査を行っている事を放置する訳にはいかないでしょう。
話しによると中国空母「遼寧」を日米の艦艇で追尾していた時、空母が
台湾海峡に入ってしまったので、中国の反発を恐れた政府が自衛艦に
離脱するよう指示したとのことでした。
私は習近平が軍部を押さえきれずに台湾侵攻をする確率は高まっている
と感じていますが、その時日本は我関せずと決め込むことが出来るのか?
恐らく大多数の日本国民は「米中の衝突に巻き込まれるのは真っ平」と
の思いあると考えますが、危機感のなさには呆れるばかりです。


by FD (2021-04-17 22:40) 

oldfogy

対潜戦とは

逆説的になりますが、海自の対潜戦能力は米海軍と並び世界第1級の能力を持っています。平成28年、トカラ海峡を潜水航行中の「中国海軍」潜水艦を海自が探知し追いかけ回しました。

この「事件」は正確に理解しないと分からなくなってしまいます。まず、日本は領海の他国軍艦の無害通航権(潜水艦は浮上航行)を「認めて」います。中国の主張は「トカラ海峡は(津軽海峡と同様)国際海峡であり制限なく通過して差し支えない」と言うものです。しかし、日本(海自)の理解はトカラ海峡は海峡全てが日本の領海であり「国際海峡」ではなく、軍艦の無害航行は認めているが潜水艦は浮上航行しなければならないと言うものです。津軽海峡中央部は公海がありトカラ海峡とは取り扱いが異なっています。実戦なら簡単に撃沈です。この発表は深い意味があります。普通はこう言う事態の詳細は明らかにしません。しかし、防衛省が正式に発表した背景は「中国に対する警告」です。「分かってるんだよ/みているんだよ」と。
世界の最新鋭対潜機は川崎が製造しているP1とB737が原型の米海軍のP8に二分されていますがP3オライオンも第一線で運用されています。海自はP1(24機)とP3(50機)を合わせて74機、対潜ヘリコプターSH60を81機保有しています。英仏独蘭等の海空軍保有の対潜機は各国たかだか10-20機、NATO諸国の合計で100機に満たず如何に海自が保有する対潜機が多いのかが分かります。しかも、NATO諸国の対潜機はP3とフランスのブラゲーが主力で既に過去の機体を現在も多数運用していて、やっと、P8に置き換えが始まりました。英国の発注機数もたったの8機です。一時、NATOでP1を改造して新対潜機に採用する話もあったのですが上手くいきませんでした。残念!
英空母QEが極東に派遣されても対潜警戒の大部分は米海軍と海自に頼るしかありません。「母港」は佐世保かな。
何故海自が米海軍に次ぐ対戦能力を持つに至ったのか?誤解を産む言い方ですが、過去の海自の任務は米海軍空母をロシア潜水艦から護る為の追尾探知です。言ってみれば、横綱が通る道の露払いといえば言い過ぎかな(笑)。対潜戦はハンター・キラーと言われ、「敵」潜水艦を狩り出し(ハント=水中の潜水艦を探し出す方法も秘中の秘)、撃沈(キラー)する事です。広大な海洋の中の極小さな点に過ぎない潜水艦を発見するのは至難の業で長年の経験と蓄積された膨大なデータが必要です。スクリュー音等による音紋解析も言葉ほど簡単ではなく最終的には解析センターに頼ります。海自も「米艦防護」が可能になりましたが言葉を変えれば米空母を中国潜水艦から守ることです。日米が有する高い対潜戦能力を中国海軍が現時点で行う能力があるとは考えられません。

遼寧を追尾中の2隻の海自艦が台湾海峡に入らなかったかどうかは知りませんが、事実なら妥当な処置だと思います。何も、殊更摩擦を生むような行為は良くありません。日本は多数の偵察衛星を運用中で、遼寧の行動は筒抜けで何も追尾する必要はありません。追尾は「見ているよ」との圧力なのです。これは、立場を変えれば中国も同じです。しかし、遼寧艦隊は沖縄本島と宮古島間を通過して太平洋に出たはずで台湾海峡は全く報告が違うのではないでしょうか。
by oldfogy (2021-04-18 15:47) 

改名しましたTangTang

とうとう中国の空母のせいで、空自までもがスクランブルする羽目になってしまいましたね。
僕は元々イーグルドライバーやったので、この手の話になると黙っていられません[あせあせ(飛び散る汗)]
なんか中国は破滅に向かっているとしか思えません。国力や威光を見せつけたいのであれば、全世界にバラ撒いた菌に対しての賠償をして欲しいモノです。
by 改名しましたTangTang (2021-04-28 23:38) 

oldfogy

私の親しい友人にイーグル・ドライバーが2名います 。余り書くとそれらの方が特定されるので書けませんが1名は現役のアグレッサーです。

クアッドに加え、QE空母打撃群が西太平洋方面に長期の遠征があり、ドイツもフリゲートを1隻派遣します。オランダからもQEに同行する形で駆逐艦1隻を派遣します。フランスのシャルル・ドゴールとは海自が既に共同訓練を行っています。

日本が中国に代わっただけで、8-90年前のアジアと何か似たような空気が漂っています。ABCD包囲網から対中「QUAD+EU」包囲網に。ただ、日米とEUは経済面で中国と密接に関連しているので複雑です。中国最大の武器はその「人口」です。今後と「人口」を使う戦略は益々強まるでしょう。

日本単独では残念ながら軍事力で中国には対抗できないため、これらの国々(日米印豪英仏独蘭+NZ)と安全保障面でしっかり連携しなければなりません。

FDさん指摘の通常型潜水艦が静寂性で原潜より優っているのは事実です。原潜は原子炉(と関連システム)の運転を止められないのでそこからの音源も止められません。ただ、水中速度(約20kt対30kt)と潜航日数(有限と無限)は比べ物になりません。

彼の国は原潜が欲しくて堪りませんが、太平洋で作戦出来ない海軍が原潜を持って何をしたいのか?うがった見方をすれば、日本海では海自に即発見されるので西太平洋から日本を狙うか!
by oldfogy (2021-05-02 07:19) 

oldfogy

九死に一生 ( B747-100/SRの憶い出)

何時の頃かはもう分かりませんが、梅雨時で本格的な雨が降っていました。その日の乗務パターンは、羽田-福岡-大阪(伊丹)-羽田。福岡でのB747のパーキングスポットは何時もRWY16からの離陸には近いNo5です。福岡出発時タクシーを始めたら管制塔から最終進入コースに1機いるので "Cleared for take off, No delay departure" (ま、簡単に言えば「さっさと早く上がれ」)と言われました。FEが中々Ready(離陸準備完了)と言わないのでFE席(副操縦士席の後=機長席の右斜め後)を振り返ると何時もは何もついていないFEパネルにポツンと1個だけアンバー・ライト(警告灯)がついていました。「それなに?」と聞いたら教官も務める経験豊かなFEが「#4ハイドロのロープレス(第4油圧系統の油圧が警告レベル迄下がっている)。でも、Quantity(量)はあるんだよな〜⁇多分、Miss indicationだと思うんだけれど」と独り言のように言いました。一般に、油圧系統は「量」が無くなれば「圧力」は下がります。しかし、「量」が規定通り有れば「圧力」は低下しない筈です。経験豊かなFEは「量があれば圧力は低下しない→圧力計の故障かも知れないと判断した訳です」。

私は、何も根拠はなかったのですが何となく全くのヤマ勘で「(離陸は)止めよう」と判断しました。既に機は滑走路内に入っていたので、副操縦士は "Cancel takeoff, clearing runway next corner" とタワーに通報しました。私が "Due to minor malfunction, request taxi back to gate" と付け加えたら、数分前に出た5番スポットへ入るよう指示されました。

滑走路から5番スポットへ戻るには、滑走路を出る時に左旋回しタクシーウエイに入る時にまた左に旋回しなければなりません。地上滑走の方向維持や旋回は主にノーズ・ステアリングで行い旋回時に必要な場合はブレーキを最小限度使います。最初の左旋回でFEが「#4ロス(第4油圧系統の油圧量が無くなり不作動になった)」と叫んだので直ちに「#2に切り替えて」と指示しました。時間がないので通常のように一々チェックリストを使用せず切り替え操作をFEに任せました。その間、副操縦士に指示し、客室乗務員に「スポットへ帰る、詳細は後程機長がアナウンスする」と連絡させました。飛行機(勿論、B747系統も)の油圧系統は降着装置の上げ下げ・ブレーキ・操縦系統等に使われ非常に重要なシステムです。JAL123便は全ての油圧系統が失われた為操縦不能になりました。B747系のブレーキは第4系統油圧でノーマル・ブレーキ、ノーマルブレーキが使えない場合(#4ハイドロ不作動時)は#2ハイドロでAlternate Brakeを使うことが出来ます。
5番スポットに入る為にはタクシーウェイから右旋回し所定の位置に停止させますがステアリングを右に切り、軽くフットブレーキを踏みながら右旋回していましたが突然FEが「#2ロス」と叫びました。一瞬、少し前、大阪(伊丹)でB747が止まりきれずボーディングブリッジにぶつけたインシデントを思い出しました。B747-400には無い(と記憶していますがFDさん、正しいですか?)第3のEmergency Brakeを操作し機を停止させました。この緊急ブレーキの操作は大変厄介で(足ではなくノブを引いて操作するのですが)そのノブがパイロット前計器版の下(ラダーの上辺り)についているので身体をかなり屈めないと操作出来ません。また、アンチスキッドがない為強い操作は厳禁です。ま、何とか機をスポットに止めて直ぐにお客様へアナウンスをしました。「油圧系統故障の為この飛行機の使用は出来ない。この後、地上係員の案内に従って下さい」と言った意味でお客様には降機して頂きました。私が滑走路端に撒き散らした作動油のため一時的に滑走路が閉鎖されてしまいました。ここまでなら「九死に一生」は大袈裟ですが、私は乗務する便が無いのでDH(Dead Head、所謂、便乗です)で羽田に帰る機内で帰着後提出しなければならないCaptain Reportを書くため起きた出来事を時系列に纏めていました。しかし、何故油圧2系統がほぼ同時に不作動になったか幾ら考えてもわかりませんでした。CRを提出したら、整備関係の不具合なら 当該機長に担当部署から原因等の回答が後刻寄せられます。その回答をじっくり読んで震えが来るほど驚きました -長いので 一旦終わります
by oldfogy (2021-05-02 07:27) 

お名前(必須)

↑で、「日本単独では中国に対抗出来ない」と書いた理由は日本には「核」が無いからです。ナセルがスエズ運河を国有化した時、英仏はアメリカの反対を押し切ってスエズに軍を派遣しました。しかし、ソ連は核兵器の使用もいとわないと英仏に強力な撤兵圧力を掛けたのも英仏敗戦の隠れた原因でした。核保有国と非核国は戦争できないのです。日本と対北朝鮮も同じで一発でも核ロケットを撃ち漏らしたら日本は壊滅的な打撃を被ります。少し前、イギリスが核弾頭の保有上限数を改定し今後増加させるのも対露数十年前の痛い敗戦の教訓かも知れません。平和ボケ日本はコロナ1つ満足にコントロールが出来ません。この対コロナ戦は近い将来と言われている台湾有事に備えての非常時の国家運営の良い練習台なんですが!

https://news.yahoo.co.jp/articles/97f934668585a60f101796a3a0db13f400c8faa9
by お名前(必須) (2021-05-03 13:39) 

FD

中国海軍に対抗するには、やはり水中での戦いですか。
やはり日本に打ち込まれる核ミサイルを防ぎきることが出来ないとなると、
持つべきは敵基地攻撃能力でしょう。
その能力を持ったからと言って、すぐにも敵基地を攻撃する訳ではない。
あくまでも日本攻撃をためらわせる抑止力なのです。

今日は憲法記念日。
各マスメディアが憲法改正についてのアンケートを実施していましたが、
数字のマジックというか、数字に騙されてはなりません。
毎日新聞のアンケート結果。
・自民党支持層では改正賛成が 67%、立憲民主党支持層では反対が
63%となっていて、反対の国民が多いように思われますが、そもそも
各政党支持率は自民党 35%で立憲はたったの 4.5% でしかない。
自民の賛成 67% と立憲の反対 63%を単純に数字だけ比較できないのです。
浅卑の調査では反対がもっと多くなっていますが、アンケートの操作など
質問の仕方によってどうにでも変えることができるのです。
紙切れ一枚で国民の生命財産を守れるのであれば苦労はない!

ハイドロ・ロスの続編を期待規しております。

by FD (2021-05-03 19:50) 

oldfogy

九死に一生 - B747の思い出(続)

FDさんには釈迦に説法です。

B747のハイドロ系統は各エンジンのエンジン・ドリブン・ポンプを利用した4系統で、各システムには補助としてエレクトリック・ドリブン・ポンプがあり#1と4にはエア・ドリブン・ポンプがOn demand(圧力を保つために必要な時に作動)としてついています。ブレーキは通常#4のハイドロを利用しAlternateとして#2システムを利用するのは既に書いた通りです。私が提出したCaptain Reportへの整備部担当部署からの回答は下記の内容でした。
「・B747就航当初、降着装置先端のブレーキからリザーバーへのリターン・ラインが今までの機体に比べて非常に長い為、当該ラインに「脈動」が起きるトラブルが発生した。
・その為、ハイドロ・オイルがブレーキ・ラインを出たところに1種のブースター・ポンプ1個を装備し脈動を防止した。このブースターポンプは2社の製品が使われていたが、1社のポンプは強度に問題があり定期的な交換(数値も書いてありましたが忘れました)が必要で、私が乗務した機体は当日ブースター・ポンプの定期交換のためフライト・パターン(羽田-福岡-大阪-羽田)終了後、羽田で当該ポンプ交換の整備作業を受ける予定であった。
・#4からのHydro leakに続き#2に切り替えた後のリークは当該ブースター・ポンプが破損した為そのポンプからリークが発生したものであった。
・今後、当該ブースターポンプは強度に問題がない会社製品に順次交換をする」でした。

私がゾッとしたのは(FDさんならもうお分かりですが)、「もし、教官FEの "油圧低下の警報はMiss indicationかも" を信じて離陸していたらその後起こったであろう事態です。その場合、次の様なケースが可能性として考えられます。

その1: 離陸後間もなく、#4 HYD Low Quantityになった場合。この場合は4 Loss なのでAbnormal操作に従い#4HYD systemを不作動にし着陸時には#2 HYD systemのAlternate brakeを使えるようにします。この場合、着陸と同時に(Brakeの使用で)#2 HYD systemの機能が瞬時に失われてブレーキが効かなくなります。

その2: 大阪空港進入迄、#4システムの作動油が失われなかったとしたら大阪空港へ着陸した瞬間のブレーキ操作でハイドロ漏れが発生しブレーキが効かなくなります。多分、#2への切り替えは時間的に間に合わないでしょう。しかし、このケースは余り考えられません。車輪格納時にタイア回転を止める為(回ったまま巨大なタイヤを格納すれば機体等にダメージを与える可能性)自動的にブレーキが掛かるので、この時に#4ハイドロ・ロスになるでしょう。後は、その1と同様です。

その3: 福岡での離陸でハイドロ漏れが辛うじて起こらず大阪着陸時のブレーキ使用で「起こった」としたら、その後の経過は「その2」と同様で矢張りブレーキが効きません。

その1から3迄の何れのケースでもEmergency brakeの使用は可能ですがこのブレーキの操作の難しさは前にも書きましたが、右手でリバースを持ち上げながら左手で計器版下のブレーキ操作を行い機を無事停止させる事は不可能に近いと考えられます。また、仮に操作出来ても気は動転しているため操作が荒くなりAntiskidが無いためタイア・バーストし機は滑り続けるでしょう。

何れにせよ、どのケースも雨天でのWET RWYに約250トンの機体で時速250キロで着陸しリバースだけでの減速ならB747にとり決して長いとは言えない大阪の34Lでは滑走路からかなりの高速で逸脱し悪くすれば死傷者が出た可能性が極めて高かったと考えます。滑走路の先は密集した住宅地でそこまで行ったら航空史上に残る大惨事。私が生き残っていたなら業務上過失致(死)傷罪で長い裁判になりその後の私はなく、かつ、パイロット生命は絶たれ家族にも多大な迷惑を掛けてしまったでしょう。今思い出しても身震いがします。

長年の経験による「何とないヤマ勘」とハイドロ漏れが離陸前に起きた「偶然」に感謝しかありませんでした。当該FEから「誤判断」の謝罪はありませんでした。誤判断は仕方ありません。しかしその謝罪により将来同じ過ちを犯さない貴重な経験とする事が出来ると感じました。

この件以降、ブレーキ系統に問題が発生すれば必ず緊急事態(PAN PAN X 3回)を宣言し1メートルでも長い滑走路に降りると固く心に誓いました。理想は成田の34Lの4000です。後は横田か嘉手納か!

コメント欄は可視範囲が狭いのでメールに書いてコピーし投稿しました(笑)
by oldfogy (2021-05-04 07:32) 

FD

油圧系は4系統あるとは言えやはり怖いですよね。
確かエンジン同様2系統の油圧系が故障した場合は緊急事態だと AOM に
記載されていました。
B727 までは人力操縦が可能な Manual Reversion なるシステムが
用意されていましたが、操縦桿を引くのが重かったこと!

私もコメントが長くなる時は、ワードパッドに書き込んでからこちらに
コピーしています。

by FD (2021-05-07 16:14) 

Tang Tang

毎年、お手伝いをしているのですが、今年で20回目になりました。御巣鷹の尾根慰霊登山です。
遺族の方々も高齢化が進み、荷上げや登山のお支えとしてお手伝いさせて頂いております。
必ず言われる事、遺族を出さんで欲しいと。
もちろんです。改めて安全運航を胸に刻む日なのであります。失礼致しました。
by Tang Tang (2021-08-17 23:02) 

KIX ATC

現役管制官です。
色々なことを調べているうちにこのブログにたどり着き、初めてコメントさせていただきます。
今回のUAL機のように双発機が片側のエンジンを失った場合、旋回方向について何か制限はありますでしょうか?
例えば今回の事例なら右エンジンなので右旋回はしたくない・・・。左旋回のみが良い、など。
ご教示いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
by KIX ATC (2021-11-20 22:37) 

FD

現役管制官の方からのコメント、ありがとうございます。
私は現役を退いてから10年となり、航法システムの進化には驚いており、
浦島太郎状態になっているのですが、お互いに航空の安全を第一に考える身。
oldfogy さん共々、色々な意見を述べ合えれば幸いです。
エンジン故障時の旋回についてですが、特に制限はありませんし、
右旋回しても問題ないはずですが、空域などの制限がない限り
やはり左旋回を選択すると思います。

by FD (2021-11-21 21:17) 

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