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HUD ヘッドアップ・ディスプレイへの疑問 [航空関係]

現在最新鋭の機材には下の写真のような Head Up Display と称する投影装置が備えられています。

hud1.jpg
HUD の最大の利点とは外 (滑走路) への視線と計器 (速度・高度・Path) などへの視線が同一線上にあるため視線を大きく動かすことなくその両方を難なく捉えられるところにあると考えられています。
HUD を装備していない在来機では、外と計器のクロス・チェックを行うためには視線を素早く上下に動かす必要がありました。パイロットが視線カメラを装着したならば視線の先が激しく動き回っていることでそのことを理解して頂けるのではないでしょうか。
よく「目つきが悪いのは刑事とパイロットだ」などの冗談を聞いたことがありました。
NHK の朝ドラ[舞いあがれ]で主人公の訓練生が着陸するとき、目が据わっていてピクリとも動かないのを見て「あれでは着陸できない」と oldfogy さんが指摘されていました。
そこで私は HUD を利用して飛んだ経験がない事をお断りした上で、HUD について深く瞑想してみたいと思います。

HUD を利用しての着陸動画を観てみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=NXT1tz1-y8M
どうでしょう?平面な画像ですので分かり辛いでしょうが、奥行きがあって遠方に見える実際の滑走路と HUD の数値を同時に読み取るには当然ながら焦点を調整する必要が生じます。

aa.jpgHUD は滑走路を見せるために映像の中央部分を広く空けてありその幅は下にみえる PFD よりも広くなっていますので速度と高度を示す数値部分も左右にかなり離れており焦点を近くに持ってくると同時に視線を左右に大きくき振る必要があると思われます。
そして所詮は投影画像で鮮明度に欠けますので、目の端で捉えただけでは正確な数値を読み取れずに凝視することにでもなったなら何のための HUD かとの疑問も出てくるでしょう。
更には 50ft のコール以降は滑走路と重なってチョロチョロと動き回る Inference Circle が目障りで
滑走路の目視に集中できない恐れもあるように感じられました。


JAL516便が HUD を使用していたかは不明ですが、こんな余計な表示に気を取られていたのでは 海保機に気付かなかったのも致し方なかったと言えなくもないでしょうが、300 名を超える命を背負って飛んでいるのですから、見えなかったで済むはずもないでしょう。

DA (進入復行高度) を過ぎれば後は Threshold (滑走路末端) で Vref+α の速度を保っていることさえ確認したなら、それ以降は速度を Bleedoff しつつ電波高度計の読み上げを聞きながら滑走路へと寄せていくだけですので、速度などに気を留める必要はないのです。
機長昇格のための路線訓練で着陸したとき、右席で指導していたキャプテンに「Threshold でちゃんとスピードを確認していたね」と言われ、私の目線まで見ていたのかと驚いたことがありました。

今回の羽田空港での事故。殉職された5名の海保隊員はお気の毒でしたが、JAL機はCA達の
奮闘もあり乗客など全員が緊急脱出に成功し、海外メディアからはミラクルだとの称賛が寄せられていますが、私が考えるもう一つのミラクルとは。
衝突した後に JAL機と海保機が絡み合うことなく離れてしまた事でした、海保機を抱え込む形で滑走していたなら緊急脱出も困難なものになっていただろうと想像してしまいますので。
PS:今回の羽田空港衝突事故でCAが保安要員である事が改めて認識されたと思われますが、時を同じくして日本の航空会社としては初となる女性社長が誕生しました。
新社長は長崎の短大出身でCAとしてのキャリアの始まりは東亜国内航空で JAS 時代に JAL と合併し、どちらかと言えば傍流だったでしょうから、それでもトップに上り詰めるとは余程優秀な女性なのでしょう。

自民党が派閥解消に踏み切りましたが断交する訳ではないでしょうから、またぞろ集まってくるでしょうね。政策勉強会と派閥の垣根もあやふやですし。


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