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FMS と VNAV [航空関係]

燃料消費の少ない、効率的な運航を行うためには、FMS の有効活用が欠かせません。FMS が計算した速度で巡航高度まで上昇し、同じく FMS が計算した T/D(Top of Descent) から降下を開始して、途中でパワーを上げたり、スピードブレーキを使用するような非効率的な降下ではなく、アイドルでの継続降下を行って、最終進入(ILS 等) を開始するためのフラップスケジュールに入る。これが現在のハイテク機による理想的なフライトパターンなのです。

上の図では、降下開始をB点まで遅らせ、途中でスピードブレーキを使った場合、燃料効率が一番悪くなります。

もちろん管制誘導上の制約等があり、いつも上記のような理想的なフライトができる訳ではありません。例えば、
羽田では Cross SPENS FL160 / Cross TLE 130 などの管制上の制約があり、理想的な T/D からの降下が行えませんし、千歳の Rwy19 でも、出発機との関係から 12000ft での水平飛行を余儀なくされ、スピードブレーキの使用が必須となる場合が殆どです。

一方、那覇や福岡(トラフィックが少ない時、との条件がありますが)、広島等では E/D(End of Descent) での速度、高度の設定を熟慮して(Offpath Descent の Circle も参考にして) 行うことにより、効率的な降下が可能になります。この辺りがフライトをしていて一番面白く、やりがいのあるところですね。

会社のポリシーも A/P A/T FMS の有効活用なんです。運航関係のマニュアルの冒頭には次のような記述があります。
『安全性の向上のために、Autopilot および Autothrottle を積極的に活用する。(中略) より効率的な運航を実現するため、Autopilot,Autothrottle の使用と合わせて、FMS を広範に活用することが奨励される。』

VNAV の使用に関して一つ。
これからの非精密進入は VNAV Approach が主流となりますので、VNAV の使用が大前提となって行くはずですので、FLCH / VS Mode の使用は、なるべく控えるべきでしょう。

訓練関係の資料にも、涙が出るようないい事が書いてあります。
『VNAV は FLCH や VS と比較して、遙かに手間のかからない確実な方法である。言うまでもなく VNAV は FMS CDU に書き込んだシナリオ通りに事を運んでくれるからである。FLCH はその意味で VNAV よりグレードが低く、VS はさらに原始的な機能であると言える。高い機能は一見使いにくいように思われるが、それに習熟すれば結果的にそれが簡素で最も確実な方法である事が分かる。』

先人はいい事を言っているではありませんか!いくら家の設計がよくても、それを具体化する大工の腕が悪かったらいい家は建ちません。私の家がそうだった(余談)。素晴らしい訓練マニュアルを活かして後輩を指導しましょう。



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