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目指すべきは・・・ [航空関係]

言うまでもなく、安全で効率的で快適なフライト、それに尽きるでしょう。更に付け加えるなら、定時性の確保がありますが、これは管制上の問題、旅客係員、貨物の搭載などにより左右される場合が多いので、乗員が関わる部分はほとんどないと言えます。

そして、安全性を高めるために最も重要な事は、飛行機を難しく飛ばすのではなく、シンプルなフライトを行うよう心掛ける事。私はそう考えております。
必要もないのに、モードチェンジなどの余計な操作をしますと、それだけ間違いを犯す可能性が増えますし、非効率的になる事が多くなります。しかしこれができずに、-400 をわざわざ難しく飛ばしている人が多い。なぜなのか?ひとつには、スイッチ操作などをゴチャゴチャ行いますと、『この飛行機を俺が支配して飛ばした!』 そんな自己満足にひたる事ができるんですね。もう一つ、常に何かをしていないと、『この人は何も考えないで飛んでいる。』 指導者からそんな評価を下されてしまうのです。指導者にフライトの本質を見抜く力がないので、表面的な事だけで評価してしまうのです。
大局的な視点でフライト全体を見る能力が要求されるのに、重箱の隅をつつくような細かい事にこだわって、適切な指導ができていない。初期任用の飛行機から -400 に上がってくる人を見ていると、その事がよく分かります。
285kt で降下中、ガタッと揺れただけで、「スピードインターベンション 290 ノット。」 とやってしまうんです。
これは余談ですが、ボーイングのフライトマニュアルや飛行規程には、タービュランス・ペネトレーションスピードとして、「290kt ~ 310kt / Mach .82 ~ .85 のいずれか低い方」 と幅を持たせてあります。重量差の大きい -400 ですので、当然の事ですよね。ヘビーウェイトで上昇中、揺れたからと言って、間違っても 290kt にはしないでね!

職人でも役者でも、名人と呼ばれる人たちには無駄な動きがないですよね!シンプルで完成された動きの中に、必要な所作は全て入っている。下手な職人や役者ほど余計な事をして、物事を台無しにしてしまう。
そう言えば、GCA(PAR)の上手な管制官がいましたね~。余計な事は言わず、必要最小限の指示を与えるだけなのに、飛行機はドンピシャリ、オンコースオンパスでアプローチして行く。まさに名人芸でした。これは余談 (^^ゞ

重箱の隅をつつくような細かい事・・・・・一番のよい例が、
“ Leave AMI Heading 200,Descend and Maintain 8000,Cross AMI at or Below 13000 ”
北から羽田にアプローチしますと、こんな指示が出されますが、この“ Leave AMI ・・・・・” の言葉にこだわって、AMI VOR の少し手前でヘディングホールドモードとし、AMI VOR の直上でヘディングセルモードにしている。
理由は、LNAV のままで飛ぶと、AMI VOR の僅か手前から旋回を始めるので、“ Leave AMI ・・・・・” の指示に反する。と言う事らしい。

AMI VOR の僅か手前から旋回を始めたところで、安全性には 1% の影響も与えないし、モードチェンジも一回で済む。ところがヘディングホールドモードにすると、モードチェンジが二回必要になりますし、ヘディングホールドとアルトホールドとを間違えて押してしまい、慌ててしまう事にもなる。VOER には片側 30°の誤差空域がありますし、RNAV の RNP(Riquired Navigatjon Performance )も 4海里となっています。どちらの方法が安全性が高いか、我々が目指すべきはどちらなのか?は言うまでもありませんね。

ところで、ヘディングホールドモードにした後のトラッキングはどうするのだろう?僅かの距離だからトラッキングする必要はない? (笑)

百歩譲って、ヘディングホールドホールドモードにするのには目をつぶったとしても、もっと驚いたのは、
“ Leave PERRY ・・・・・” の指示に対しても、同じようにヘディングホールドホールドモードにした人がいた事。「何で!?」 と聞きましたところ、「先のコースが曲がっている時でも、真っ直ぐでも、操作の統一と言う事で、ヘディングホールドホールドモードするよう、前の乗務機種では指導を受けた。」 との事でした。
操作の統一と言えば聞こえはよいが、状況に応じてモードを使い分ける、臨機応変な対応をする事の方が重要でしょうが。これでは教えられた通りにしか飛べない、マニュアル人間ができあがるだけだよ。

配布された資料にこんな記述がありました。「自動化が進み、Autopilot を使用すれば何も考えなくても目的地まで飛行できる。実際にそのようにして飛んでいる機長もおり、それを見て副操縦士も育っていく。」 私の事かしら?
離陸してオートパイロットをエンゲージしたら、その後は余計な事はしない。これが私が考える理想のフライトなんですが。する必要がない時は、何もしないで先の事を考えていればいいのよ。
オートパイロットを使用するかしないかと、考えて飛んでいるかいないかは、全く関係がありません。「実際にそのようにして飛んでいる機長もおり、」 の、実際は何を指すのかは不明ですが、これを書いた人(おそらく指導的立場の人でしょう)が一番フライトの事が分かっていないようですね。

非精密進入におけるこれからの主流は RNAV (GPS)アプローチですが、操縦はオートパイロットに限定されており、手動による操縦は認められていません。化石のような古い考えは捨てて、最新鋭の飛行機に適応する新しい運航方式を身につけましょう。



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