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過ぎたるは及ばざるが如し [航空関係]

計器飛行方式で飛行する場合、出発前に飛行経路と巡航高度の承認を受けておく必要があるのですが、現在 『管制承認伝達方式の簡素化』 が各空港において実施されており、『管制承認発出時に最初に指定される高度』 として、各便から要求された巡航高度よりも低い高度を、暫定高度として指定する方式が一般的となりつつあります。

羽田から東北・北海道方面へ向かう場合に使用される PLUTO RNAV デパーチャーを例に取りますと、FL210が最初に指定される高度となっています。

離陸して上昇を続けながら、東京コントロール・関東北セクターにコンタクトして、巡航高度までの上昇を要求する事になるのですが、その際こんな言い方をするパイロットが多いようです。

PILOT : “ Tokyo Contorl ECO675 Climing to FL210 Leaving 8500,
あああああaRequest Climb FL390 ”

この場合の、“ Request Climb FL390 ” は、本当に必要なのでしょうか?
管制官に聞けば、「最終的な巡航高度は運航スリップにより把握しているので、巡航高度を変更したい場合を除けば、特に通報の必要はない」 との答えになると思いますし、私も余計な事を言って、管制通信の混雑を招くのはよろしくないとの考えですので、通報しない事にしているのですが、会社は、「何事も念のため」 と言う事で、「通報した方がよい」 と教育しているようですね。

ところが、この 「何事も念のため」 との教育が、『過ぎたるは及ばざるが如し』 となってしまう場合もあるのです。

南九州や沖縄方面への出発に使用される、NANAM, RNAV デパーチャー。

blognanamrnav.gif
上の図のように、羽田や成田への到着ルート(赤線)を横切って飛行する事になりますので(緑線)、焼津 NDB までに、要求した巡航高度まで上昇しておく事が必須となっております。
上昇しながら到着ルートを横切る事にでもなれば、ニアミスなども起きやすくなりますからね。

ところが、巡航高度が FL380や FL400など高々度だった場合、焼津 NDB までに巡航高度に上昇する事が、性能的に無理な場合が多いのです。
そんな場合は、焼津 NDB までに到達できる高度で一度水平飛行を行い、到着経路を完全に横切ってから最終的な巡航高度まで上昇する事になりますので、出発前に管制承認を要求する時、

PILOT : “ Tokyo Delivery ECO675 Spot59,
あああああaPropose FL400 Maximum Altitude at YAIZU F 340 ”

などの用語を使って、焼津 NCB までに到達できる最大高度を通報する事になっているのですが、私はいつも、低めの高度を通報する事にしています。ギリギリ到達できる高度を通報し、「ちょっと無理だったかな?」 と慌てる事になるのは真っ平ですからね。
低めの高度を通報しておいて、もっと行けそうだったら、改めて東京コントロールに、

PILOT : “ We Can Leach FL380 by YAIZU ”

と言ってやればよいのです。
ところがですね、東京コントロールにコンタクトする時、念のためが頭にあるからなのか、

PILOT : “ Tokyo Control ECO675 Climing to FL340 Leaving 11500,
あああああaRequest Climb FL400 ”

と言ってしまうコーパイがいるんですよね~・・・・・そうしますと、

ATC : “ Climb and Maintain FL400,Cross YAIZU at FL400 ”

と言われてしまうんですよ!
焼津 NDB までに FL400に上昇する事が無理だから低めの高度を要求しているのに、これでは元の木阿弥になってしまいます。過ぎたるは及ばざるが如し。


那覇空港の使用滑走路は18でしたが、出発前に確認しましたノータムによりますと、到着時刻前後に那覇港に入港する大型船舶が滑走路18の最終進入経路の真下を通過するため、10分ほどの間、離着陸が禁止されるとの事でした。
滑走路18への着陸が禁止される船舶の高さは、35メーターを超える高さとなっております。

飛行時間から、船舶が通過する前に到着できると予想していたのですが、通過時刻が10分ほど早まったとかで、少し待たされる事になってしまいました。

『雀の子 そこのけそこのけ お船が通る』


以前にも書きましたように、那覇空港の PAPI の角度が、一般的な3度へと変更されたのですが、
PAPI の見え方が ■ ■ ■ になってしまうんですね。
変更される前の滑走路の見え方、周りの景色などを体が覚えていて、元の2.75度の時の見え方に飛行機を持って行ってしまい、進入パスが低くなってしまうのです。分かってはいるんですがね~
慣れるまでには少しばかり時間が掛かりそうです。


JAL の再建問題にからんで、B747が悪者・邪魔者扱いされているのが少し寂しい。
B777-300との座席数の差は50席ほどですが、「この50席がありがたい!」 と言う場合も多いらしいのです。営業サイドからの支持も高いようなので、まだ我が社では退役させるとは明言していません。
先日の羽田-那覇便も、往復とも満席-1名でした。ところが同時刻に飛んでいた他社便ではB767が使われていたのです!この路線をB767が飛んでいるなんて、初めて見ましたよ。う~ん・・・・・厳しい。

羽田の4本目の滑走路、05/23 がらみで、川崎市浮島にあるピラミッド型をした浮島換気塔の先端が削り取られて、台形になっていました。
05を着陸に使うための変更なら歓迎なのですが、23への着陸機が進入復行した場合に備えての変更でしょう。飛行場関係の工事で、パイロットの意見が取り入れられた事は、まずありませんでしたからね。

ところで、滑走路22および23で使用するための、新しい計器進入方式が設定されます。
LDA(Localizer type Directional Aids )と呼ばれる、ローカライザーを使用した非精密進入方式で、南風好天時に、滑走路22と23への同時平行進入が可能となるそうですが、取りあえず滑走路22への運用が(緑線)3月11日(木曜日)より開始されます。MDA 1300フィート。

10月以降は22/23着陸の運用が増えそうですね。
現在、南風好天時には16L着陸、16R離陸の運用(離着陸1本ずつ)が殆どで、南西の強風時のみ22着陸、16L離陸の運用が行われているのですが、10月以降は22/23着陸、16L/16R離陸の運用(離着陸2本ずつ)が多くなるでしょう。
16Lへの迫力ある?着陸が見られなくなるのは残念な事かもしれませんが。

bloghanedalda.gif


民主党小沢幹事長に対する二度目の事情聴取が行われたようですね。
本人も、自身の刑事責任に言及したりして、ちょっと弱気な面も見せ始めているようですが、いよいよ覚悟を決めたのかな?

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RJER9696

FDさんおはようございます。
那覇空港のこと「そんなこともあるんだ~」と驚きました。
船と飛行機は親戚みたいな関係だと思っていましたが、「出船優先」ではないんですね。

by RJER9696 (2010-02-02 02:52) 

すちゃらか公務員

FDさま、はじめまして!
ネットサーフィン(死語?)で、たどり着きました。
計器進入方式について伺います。
空域と精度の問題は無視しての話(本末転倒)ですが、ILSなどの電波はどれくらいの距離からキャプチャーできるのでしょうか。
また「VNAV機能」を使えば、今回のLDA-RWY22のルート(緑線)をOffset LOC IKLに頼らず飛行することは可能でしょうか。
by すちゃらか公務員 (2010-02-05 02:34) 

FD

飛行場内では、全ての車両などに対して飛行機優先となるのですが、船が相手となりますと、譲らざるを得ないようですね。
もっとも、着陸機・離陸機が途切れる事はないでしょうから、船の方を待たせますと、なかなか入港できない事態になるのかも知れません。
離着陸に支障が出るような大型船の出入港は、それほど頻繁ではありませんし。数日に1回程度?
by FD (2010-02-05 10:25) 

FD

ILSの有効範囲はローカライザーが25マイル、グライド・スロープが10マイルとされていますが、フライト・チェックを行って、有効性が確認できれば、キャプチャーできる範囲を拡げる事が出来ます。
羽田、ILS X-Ray 34L/Rのグライド・スロープは高度4,500フィート、距離13.6マイルでキャプチャーします。
実際、どの程度の距離からキャプチャー出来るかは、試した事がありませんので分かりませんが。

VNAVは垂直方向のガイダンス、LOCは水平方向のガイダンスですので、併用してのアプローチは可能でしょうが、「頼らずに飛行する」 と言う表現は適切ではないと思われます。
by FD (2010-02-05 10:28) 

ZZY

FD様、いつもブログを興味深く拝見しております。海運業界で働く者です。
高マスト船舶の入出港に伴う那覇空港のRWY18の発着制限ですが、羽田のD滑走路(RWY23)でも実施されるようです。東京港は大型コンテナ船の出入りが多いですから、東京港湾当局と航空管制側の綿密な連携が図られるようです。困ったことに、船のスケジュールは荷役都合や気象海象の影響で当日でも頻繁に変わりますので、どのようなシステムで調整を行うのかについて、興味があるところです。
by ZZY (2010-02-05 23:47) 

すちゃらか公務員

FDさま、回答ありがとうございます。
空域とセパレーションを無視した理想論ですが、VNAV利用とILS有効範囲が広がれば、燃料消費と騒音問題を少しでも改善できるのかと素人ながらに考えてました。
「頼らずに飛行する」については不勉強でした。
(IKLはDYEの隣に新しく作ったのでしょうか)

羽田のハブ空港化を目指すなら、空域問題と05着陸は避けては通れない問題と思います。
東京都知事と神奈川県知事は『ハブ化賛成』の意向を示しており、千葉県知事も千葉(木更津)の騒音軽減という点では反対しないはずですし、空域問題も今の政権なら・・・・・・・(全部皮肉ですけど)
by すちゃらか公務員 (2010-02-06 14:36) 

kakashi

初めまして。Googleからたどり着きました。飛行機ファンなので大変おもしろく拝見させていただいてます。
ところで、羽田の16Lへの着陸は難易度が高いのでしょうか?
失礼な質問ですが、プロならできて当たり前でしょうか。
乗客で時々16Lに降りるときがあるのですが、お台場あたりから城南島の上でUターンに近い状況でしかもアプローチまで距離があるとは思えないのですが。
by kakashi (2010-02-09 00:00) 

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