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CVA (実践編) [航空関係]

10月以降、天気の良い昼間には頻繁に使われるであろう CVA(Charted Visual Approach)を試してみる機会がありましたので、さっそく、CVA FUTTSU VISUAL RWY 34L を実践してみました。
ただし、実機ではなくシミュレータでの経験なのですが。
前にも書きましたように、63歳以上のシルバー乗員には、年に一度の特別なシミュレータ訓練が義務づけられているのですが、予定されていた訓練が終わった後、時間が余っていましたので、ちょっと試してみたと言う訳なのです。

CDU で ILS34L と FUTTSU を選択しますと、CDU の表示は次のようになります。
ただし、RWY34L の後がディスコン(不連続)になってしまいますので、RWY34L 同士をつないだ結果、この表示となりました。

なお、FUTTSU-ILS34L の順に選択しますと、KAIHO から先のアルト・コンストレイントが消えてしまいますので、ILS34L-FUTTSU の順で選択する必要があります。
blogcvacdu2.gif
SNE29の高度は初めから1450になっているのですが、速度はブランクになっていましたので、この位置での適正な速度と思われる160ノットを入力してみました。

KAIHO の手前で4000フィートまで降下しますと、VNAV PTH モードになりましたので、スピード・インターベンションを行ってフラップ5とし、アルト・カウンターに500フィートをセットして、KAIHO からの VNAV による連続降下を意図したのですが、KAIHO を通過しますと、IDLE/VNAV SPD モードとなってしまい、次のターゲット高度である2000フィートへ向けて、アイドル・ディセントを開始してしまいましたので、VNAV のパスの下へともぐり込んで行ったのでした。

ここは、VNAV のパスに乗って連続降下をしたい所なのですが、これでは階段状の降下となってしまい、VNAV の良さが活かせなくなってしまいます。何でそうなってしまうのか?

考えられる理由としましては、KAIHO を通過してもアプローチ・フェーズにならない設定になっているのではないかと言う事です。
そのためスピード・インターベンションを行った結果、VNAV SPD モードになってしまったと考えられます。
機体が通過しますと、アプローチ・フェーズになるウェイ・ポイントとは、所望のアプローチを選択した時、6R に XXXXX INTC と表示されるウェイ・ポイントでして、そのウェイ・ポイント以降はスピード・インターベンションを行っても、VNAV PTH モードが維持されるのです。

となりますと、VNAV PTH モードで連続降下を行うためには・・・・・
スピード・インターベンションを行わないようにするしかありませんが、そうなりますとスピードの調整が MCP では行えなくなりますので、CDU に適当な速度を入力してやる必要があります。
しかし、FMS が勝手に決めた?速度で SNE33や SNE30を通過しようとしますと、速度が速すぎて、フラップを下ろした時、結構な振動が発生してしまったのでした。

Vref を145ノットと仮定しますと KAIHO までにフラップ5にするとして・・・
blogcvacdu3.gif
CDU にこんな速度を入力して、スピード・インターベンションを行わないまま降下を行えば、VNAV のパスに乗って連続降下を行えそうですね。
SNE33までフラップ5、速度190ノットで来て、SNE33で、フラップ10、ギアー・ダウン、フラップ20とし、SNE30で、ランディング・フラップ25とする。これで、どうじゃろか?

blogcvachart2.gif
そして大事なのは、SNE30から左旋回を開始して、SNE29で LOC をキャプチャーするまで、必ず LNAV モードで飛ぶ事(緑線)。LNAV モードなら、SNE30から SNE29へ向け、余裕を持って旋回を開始してくれますので、絶対の御法度である、34R 側へのオーバー・シュートを防止する事が出来ます。
ヘディング・モードのまま、45度カットで LOC にインターセプトさせるなど、もっての外ですよ!
ILS をアームせずに、LNAV と NVAN モードのまま滑走路末端まで飛んでも問題ないように思われました。


VNAV PTH と VNAN SPD

この事に関しましては、今までも色々書いてきたつもりだったのですが、コメント欄にご質問がありましたので、改めて整理してみたいと思います。

-400には、VNAV PTH モード・スイッチとか、VNAV SPD モード・スイッチとかがある訳ではなく、基本的にはパイロットが予め打ち込んでおいたデータを基に、FMS が描いたシナリオ通りに飛んでいる時(上昇中は除く)、VNAV PTH モードとなり、降下中にパイロットがスピード・インターベンションを行ったり、FMS が計算した降下パスから外れている時には、VNAV SPD モードとなります。
もちろん VNAV のスイッチはありますが、SPD モードになるか PTH モードになるかは、その時の状況で変わってきます。下図参照。

スピード・インターベンションとは、FMS が計算した速度ではなく、パイロットが介入して任意の速度を選択する事を言います。

飛行機は羽田を離陸して上昇を続けています。上昇中は、パイロットが選択した上昇推力と、FMS が計算した速度で上昇しており、特定のパス上を飛んでいる訳ではありませんので
VNAV SPD モードとなっています。
途中、PLUTO RNAV デパーチャーの制限高度である SNE(守谷VOR)13000ftに達しますと、① FMSのシナリオに従って水平飛行に移りますので、VNAV PTH モードとなります。

SNE を過ぎて再び上昇に転じますと、SPD モードに。巡航高度であるFL390へ向け上昇中、管制の指示によりFL330で水平飛行に移ったような場合には
② シナリオにない予定外の水平飛行ですので、VNAV ALT モードとなります。
その後再び上昇して巡航高度であるFL390に達しますと③、シナリオ通りですので、
VNAV PTH モードとなります。

blogvnavpthspdalt.gif

巡航が終わり、FMS が計算したパスに従って T/D から降下を開始しますと、モードはVNAV PTH のままなのですが、T/D の手前④から早めに降下を開始しますと、VNAV SPD モードでの降下となり、⑤で再びパスに会合した時点で PTH モードに戻り、緑線のパスに乗って降下を続けるのですが、会合する前にスピード・インターベンションを行っていますと、SPD モードのまま FMS が計算した降下パスを突き抜ける事になります。⑤

この後は私の得意技なのですが、⑥上空の風の変化により FMS が計算した降下速度よりも15ノット以上速度が減ってきますと、計算した速度に戻すために、PTH モードのままエンジンのスラストが出てしまいます。
ここはアイドル・ディセントを続けたい所ですので、スラストの増加を許してしまうのは愚の骨頂。
-15ノットになる前にスピード・インターベンションを行って、SPD モードとし、パスの下へと潜らせて速度を回復させればよいのです。「その後どうやってパスへ戻すのか?」 とお尋ねですか。
ご心配には及びません、
経験によれば、減速域の後には必ず増速域があるものなんです。増速域に入りますと、SPD モードですので、速度が増える代わりに元の降下パスへと戻ってきますので、⑦パスに戻った所でスピード・インターベンションを解除してやれば、再び PTH モードとなり、FMS が計算した降下パスに従って降下を続けられるのです。
一度もスラストを出すことなく、経済的な速度で降下を続けた事になりますよね。

その後、フラップ・スケジュールに入るためにスピード・インターベンションを行うのが普通ですが、YOTEI 近くで水平飛行に移りますと、VNAV PTH モードとなり、それが⑧ILS キャプチャーするまで続きます。
ILS をアームせずに、アルト・カウンターだけを巻き下げておきますと、滑走路末端まで VNAV PTH によるガイダンスが続きます。

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トメ

FDさんこんにちは。

やっぱり、夏場の北風好天なんて、確立低いですよね。
夕凪後には可能性があるんですかね?
やはり目視での安全確認が最優先の飛行方式ですから、出来るだけ操縦は飛行機任せにしておきたいですよね!

ところで、VNAVのお話。
私は、PTHモードやALT、SPDなどを自在に切り替えられるものと思っておりました。何らかの操作によってモードが切り替わってしまったとしても、パイロットの意図するモードに変更することは難しいのでしょうか?
もうひとつ疑問が。
各ウェイポイントに高度が設定されていた場合でも、PTHモードで連続降下が可能なのですか?以前のブログに、アルトコンストレイントは「そこを通過する前に消す」と書かれていらっしゃいました。この理由もわからなかったのですが、この件とは別物なのでしょうか?
う~ん、まだあるんです。
PTHモードで降下中にレーダーベクターなどでLNAVルートを外れた場合に、VNAVはパスを計算できなくなりますよね。そのときはどうなるんでしょうか?
飛行機の自動操縦技術の中で、もっとも興味がある機能なのですが、もっともイメージが湧かない…というか、身近に同様のものが無い…というのか。

お時間があって、ブログテーマに困った時にでも教えてください!!
by トメ (2010-08-28 10:16) 

FD

VNAV PTHとVNAV SPDについては、本文に追加しました。

FMSが計算した降下パスは1本の直線ではなく、ファンネル状(漏斗)になった面になっていますので、レーダーベクターでLNAVのルートを外れたとしても、パスの計算は続けてくれます。
そして、適当な所でMICKYなどのファイナル・アプローチ・フィックスへインターセプトを行ってやればよいのです。

アルト・コンストレイントを消す理由、これには、「パイロットがマニュアルで入力した・・・・・」 との断りが付くのですが、理由については以前ブログで説明しておりますので、参考にして下さい。
by FD (2010-08-29 15:56) 

トメ

FDさんこんにちは。

くだらない質問にご丁寧にありがとうございます。イメージが湧いてきました!
この自動機能は、FMSが考えていることを先読みすることと、機体がどのように飛んで行くのかを理解することが大事なんですね。
モードSWが無い!
新たな発見でした。ありがとうございます。

by トメ (2010-08-29 18:00) 

kakashi

羽田の16Lへのお台場上空、城南島上空旋回進入でのランディングは無くなってしまうのでしょうか?
by kakashi (2010-08-29 22:01) 

FD

少し説明不足でしたが、VNAVのスイッチはありますし、その他のバーティカル・モードとしましては、FLCH(Flight Level Change)、V/S(Vertical Speed)のモード・スイッチがあります。

現在南寄りの風の時は、16R離陸、16L着陸で運用していますが、10月以降は1時間あたり、22着陸28便、23着陸12便。16R離陸22便、16L離陸18便となるそうです。合計40便ずつ。
16Lへの着陸は、東南東からの強風時のみに限られると思いますが、処理できる便数がかなり減る事になるでしょう。

by FD (2010-08-30 10:40) 

ntaka

いつも大変興味深く拝見しております。
1週間程前の9月26日13:00頃にFUTTSU VISUAL RWY34Lが実施されていたようです。10月以降の適用と理解していたのですが、先行して適用されるようなことはあるのでしょうか。
by ntaka (2010-10-02 20:43) 

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