SSブログ

我慢も必要? [航空関係]

コンピュータが打ち出した那覇までの巡航高度は FL380。高層天気図によりますと、ジェット気流もそれ程強くなく、トロポポーズ(圏界面 :対流圏と成層圏の境目)も FL400付近にありましたので、最も燃料消費の少ない FL380で問題ないと考え、計画通りの高度で承認する事にしました。
ただし、那覇便の場合、出発前に承認される高度は FL180まででして、離陸後東京コントロールにコンタクトしますと、FL380までの承認が得られます。

“ Clemb and Maintain FL380 ”
これだけの指示ですと、FL380まで何の制限もなく上昇できるのですが、
“ Clemb and Maintain FL380,Comply with Restriction ”
との指示でしたので、SID に付加されている高度制限は全て有効となります。

ただし、那覇便が使用します、JYOGA RNAV デパーチャーの JYOGA における高度制限は、
FL150以上となっていますので、それさえ満足できれば、FL380まで制限なく上昇する事が出来ます。

ただ、今日のように16Rから南向きに離陸しますと、JYOGA までの距離が近くなってしまいますし、那覇便は燃料搭載量も多く、機体重量も重くなっていますので、JYOGA までに
FL150に到達する事が厳しくなってくる場合が多いのです。
blogjyogapredictalt.gif

離陸後、フラップを上げ終わりますと、航空法の制限速度に従って、1万フィートまでは
250ノット以下で上昇します。
1万フィートを通過しますと、その機種の最も経済的な上昇速度であるエコノミー・クライム・スピード(機体重量によって変わってきますが、-400の場合335ノット前後)まで加速します。ピンク線
そうしますと上昇勾配が緩やかとなって、FL150に到達する地点が、JYOGA の先になってしまい、高度制限が満足出来なくなってしまう訳です。A点

そんな場合に便利なのが、FIX ページにある [PREDETA-ALT] なのですが、離陸前、
ここに [150] と入力しておきますと、FL150への到達予測地点がND上に
FL150 と表示されますので、距離的にどれだけ足りないのかが一目瞭然となります。

ただし、この計算の基となる速度は、FMS が計算し、CDU に表示されているエコノミー・クライム・スピードかパイロットが FMS・CDU にマニュアルで入力した速度となりますので、スピード・インターベンションで選択した速度は計算には反映されません。
より推力の高いクライム・スラストを選択するか、FMS・CDU に280ノットなどの遅い速度を入力してやりますと、FMS は直ちに再計算を行って、新たな到達予測地点をNDに表示してくれます。青線
私はいつものように、離陸前からクライム2を選択していましたので、SYOGA の2~3マイル程手前で FL150に到達する事が出来ました。

3万8千フィートに到達した後、TOHME で左旋回を行って、太平洋へと乗り出して行くのですが、
blogjyogadep.gif

上図でも分かるように、沖縄・南九州方面への出発機(ピンク線)と、九州方面からの到着機(青線)がFLUTE/HANTO 付近で交錯する事になるのです。もちろん高度差はあるのですが。
そこで私は、ルート2に [FFTT] と入力して、九州方面からの到着機のルートを、ND上に表示させる事にしています。そしてこのルートを完全に横切るまでは、外部監視と TCAS のモニターを怠りなく行うようにしております。
YZ(焼津 NDB)付近では、深刻なニア・ミス事件も起きていますからね。

我々は最初から最後まで FL380で飛び続けたのですが、HANTO-NADAR 間を飛んでいた外航機が、「FL400でモデレート・タービュランスに遭遇した」 とのレポートをしておりましたので、我々の後に離陸し、FL400まで上昇していた同じ那覇行きの便は、FL380まで降下をし、更に FL360まで下げておりました。
この便、那覇に近づくにつれ、再び FL380まで上昇していたようですが、そんなに上げたり下げたりしなくても、FL380で問題なかったと思いますよ。

むかし、揺れるので高度を変えようとしますと、「お前はこれくらいの揺れが我慢できないのか!」 と吠えまくるキャプテンがいました。乗客が乗っている訳ですから、パイロットが我慢出来るか出来ないかの話でもないでしょうが、一理はあると思いました。
とにかく、自分なりの基準はお持ちでしたね。航路上に積乱雲があっても、気象レーダーのチルトを3度まで下げて、40マイル前方で消えてしまうエコーは避ける必要はないとかね。

那覇の地上風は南寄りの風。
千歳の19L では RNAV アプローチが行われ、ATIS でもそのように通報されますが、那覇では VOR が通常で、RNAV を行いたい時はリクエストをする必要があります。
天気が良好な時、私はあえて VOR アプローチを行って、MDA からのひねり込みを練習するようにしています。GPS の RAIM 予測により、RNAV アプローチが使えない場合もありまからね。
着陸後、Uターンしてスポットに向かっていますと、私の後からアプローチしていたB767も同じように MDA からのひねり込みを行って、滑走路に正対させていました。お主もなかなかやるな!


玄関先の木香薔薇。

blogrose.jpg
大震災後の電気使用量の通知が来ていたのですが、3月18日~4月19日までの使用量が、去年の同じ期間の使用量よりも36%も減っていたのです。
ところが、「節電した効果が出た!」 と大喜びしたのも束の間、念のために2月21日~3月17日までの使用量を東電に問い合わせてみましたところ、たった4%しか減っていなかったのです。
節電の効果が出たのではなく、去年の使用量が異常に多かっただけのようですね。
もっと節電に励まないと。

家庭内で電気を食うのは、エアコン-冷蔵庫-照明-テレビだそうですが、我が家の43型プラズマ・テレビの消費電力は325ワットもあったのです。昨年買い換えた冷蔵庫は100ワットだと言うのに。
色々調べてみますと、液晶テレビの方が僅かに消費電力が少ないようで、最新の省エネ型ですと、46型でも175ワット程度しかありませんでした。
節電型液晶テレビに買い換えたいところなのですが、今のプラズマもまだまだ使えますし、いま買ってしまいますと、7月には不要となってしまうアナログ・チューナーまで付いていますので、細かく消す事を心掛けて、もう少し使い続ける事にしましょう。


一言言わないと気が済まない菅総理の悪口。
キュウリとイチゴを総理官邸に持参した被災地のJA関係者が、「これを食べてみて下さい」 と頼んだところ、「このまま食べても大丈夫ですか?」 と聞いたそうな。歩く風評被害 と言われるゆえんですな。

NHKに、「あさイチ」 と言う番組がありますが、ここに出てくるレポーター、「何と下品な野郎だろう、こいつ何者だ?」 と思っていたところ、何と!あの写真家、篠山紀信の息子だったのですね。しかも母親は南 沙織だそうな。芸能界にうといFDゆえ、最近知りました。
しかし、あの下品さはどこから来るのだろう?親の七光りによる傲慢さなのか?一応肩書きは俳優となっているようだが、あれじゃあ他に使い道はないだろう。

nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 4

おん

羽田で-400にボーディングブリッジを1基しか着けていなかったのも、似たような理由ですかね?
by おん (2011-05-01 17:13) 

ちゃちゃ

初めまして。
ちゃちゃと申します。

FDさんの日記(特に航空関係)を拝見させていただきましたが、分かり易く、とても勉強になります。
最近フライトシミュレーターを購入しPCで遊んでいるのですが、FMSの使い方がなかなか難しくてまだ飛ばせてないです笑
今、SIDとSTARについて勉強しているのですが、
SID,STARとRNAVデパーチャー、RNAVアライバルは同じ意味ですか?
また、FDさんの日記に出てきた、RNAVとレーダー誘導(レーダー管制?)の関係について、よろしければ教えていただけないでしょうか?

よろしくお願いします。
by ちゃちゃ (2011-05-03 01:59) 

sasa

FDさんこんにちは。
Y23のルートをRTE2で表示させるやり方は、以前から言われているように機能を有効に使うでなく、既存の機能を組み合わせて新しい使い方をするということですね。目から鱗でした。

URLの動画なんですが、現役の方から見て何が原因だと思われますか?
動画を見ていないある評論家の見解では、失速気味に接地したからだということでしたが…良ければ教えてください。
by sasa (2011-05-03 08:31) 

FD

SIDの中に通常のデパーチャーとRNAVデパーチャーがあります。
STARの場合も同じです。
東北・北海道方面 : SEKIYADO Dep(通常) PLUTO Dep(RNAV)
沖縄・南九州方面 : URAGA Dep(通常) JYOGA Dep(RNAV)
通常のデパーチャー・アライバルが残されているのは、機種によってはRNAVが
行えない事と、特定のDMEが運用を停止しているとRNAVが行えないからなのです。

RNAVとレーダー誘導に直接の関係はありません。
RNAVルートより更に最短距離で飛ばせたい時などにレーダー誘導が行われます。
ただし、RNAVルートにおいっては、管制レーダーによる監視が常に行われている
必要があります。


動画の件、暗くてよく分かりませんが、過度の引き起こし操作を行ったために
機体がハイ・ピッチとなると同時に接地点が延びてしまい、G/Aしたように
見受けられました。
こんな状態になった時は、操縦桿を少し緩めてやれば接地するのですが、
ひたすら操縦桿を支え続ける人が居るのです。
機首を大きく上げて着陸するのは軽飛行機の着陸であって、大型旅客機向きの
着陸ではないと思っております。
「テール・スキッドが接地した」 とのコメントもあるようですね。

もう一つ注目して頂きたいのは、滑走路灯か中心線灯かはよく分かりませんが、
その灯火の色の変化です。
白から赤に変化しているのは、滑走路の残りの距離が少なくなってきている事を
示しています。

by FD (2011-05-05 23:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0