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着陸滑走路変更 西から Rwy23へ [航空関係]

近ごろの福岡空港は乗り入れる航空会社が増加している事もあって、早朝から混雑しており、降下開始前からの減速の指示や、北方向への迂回を指示される事が多くなってきています。
こんな事を言っては申し訳ないのですが、昨年から福岡空港へ新規参入している飛行機の速度が特に遅く、この飛行機が前にいますと、歩行者に追い付いた自転車よろしく、減速するのに難儀するのです。
blogpfdcommandspd.gif

この日の飛行高度は FL400 で向かい風も強かったので、エコノミー・クルーズ・スピードもマック .86とかなり速かったのですが、福岡コントロールからはマック .80への減速が指示されたのでした。
自転車もゆっくり走りますと安定しませんが、飛行機も同じ事が言えるのです。
「これはちょっときついんじゃないか?」 と考えましたので、マック・インターべーションでマック .80とし、コマンド・スピード・バグミニマム・マニューバリング・スピード(バフェット・スピードに対して1.3Gの余裕)との関係を速度計で確認してみましたところ、かなり接近していましたので、マック .82を要求する事にしたのでした。

Request Mach .82 Due to Performance.

マック .80まで減速する事がそんなに厳しいの?との疑問もあるでしょうから、少し専門的になってしまいますが、高度と速度の関係を示す図を作ってみましたので、詳しく説明してみます。
機体重量は52万ポンドとして計算。

blogmaneuveringlimit.gif
飛行可能な速度の範囲を赤線で示しています。ただし、この範囲外ではすぐさま失速してしまう訳ではなく、赤線上ではバフェット・スピードに対して1.3G(40度バンク相当)の余裕を持っています。
高々度では飛行可能な速度域が狭くなっているのは、空気が薄くなりますので、低速では十分な揚力が得られないからで、FL380 以下での高速側は、MMO/VMO による制限を受ける事になります。

FL260 で飛行出来る速度の範囲(濃緑線)は、220 ノット弱から VMO である 365 ノットの間となるのですが、FL400 では 237 ノット(M.79)から 282 ノット(M.91)の間と大変狭くなっています。ピンク線

マック .86での巡航(緑線)では、高速側・低速側に対して、共に十分な速度の余裕を持っていますが、マック.80(青線)では低速側に対して余裕がなくなって来るのがお分かりになると思います。
そして、ある一点の速度でしか飛べない放物線の頂点 Coffon Corner (棺桶の隅)と呼んでいます。

9.gif

福岡空港の地上風は北西の風で、風速も10ノットを超えていましたので、Rwy 34 のビジュアル・アプローチが行われていました。
こんな時は、FIX ページに [IFO] と入力し、ベアリング・ディスタンスを 247/ 2 とする事により、ダウン・ウインドの幅とアビーム・ランウェイ・エンドの確認を確実に行えるようにしています。
[IFO] は Rwy 16 ILS ローカライザー・アンテナの位置を表示してくれます。
本当は 247 / 2.5 としたいところなのですが、1マイル単位でしか入力出来ませんので、2または3と入力しています。

blogrjff34visualapch.gif

福岡空港の滑走路には山岳地帯が接近していますので、ND に Look-Ahead Terrain Display を表示させておく事は言うまでもありません。

LATD の有効活用例。

http://fdc.blog.so-net.ne.jp/2010-03-10#comments



帰りの羽田空港、行われていた進入方式は ILS 22 でした。
METAR によりますと、卓越視程は10キロ以上あるのですが、滑走路を視認出来る
高度が800フィートとの情報も来ておりましたので、LDA での着陸は無理な状況のようでした。

東京コントロールから

“ Cleared Via NYLON Arrival, Descend to Reach 10,000 ft by ADDUM ”

とのクリアランスが来ました。


東京アプローチのレーダー誘導が始まった後に、Rwy 23 ILS を了承するか?聞いてきましたので、もちろん了承すると答えました。
FMS・CDU で ILS 23 を選択しますと、NYLON と SMILE の間がディスコン(不連続)となりますので、それを繋いでやればセットアップは完了。Rwy 22 への着陸に比べ、経路と時間をかなり短縮する事が出来ました。
こんな臨機応変な対応は大歓迎です。

blognipponfuji.jpg

近ごろ永田町に流行る狂歌。
心はだれにも見えないけれど、下心は見える。
思いは見えないけれど、思惑はだれにでも見える。

管首相が原子力安全委員会や電力業界に諮る事もなく、唐突に発表した浜岡原発の停止要請。「命令ではなく要請としたところがずる賢い」 との見方もあるようですね。
命令としてしまうと、それによる結果に責任が生じるが、要請なら 「政府は要請しただけで、停止の決断をしたのは中部電力である」 との言い訳が出来るとの事らしい。責任転嫁と逃げがお得意な御仁のようで。

その民主党政権。外国人に地方参政権を与える事にご執心のようだが、いざという時になったら日本を見捨てて一目散に逃げ出すような外国人に、本当に参政権を与えていいのか?
普段は偉そうに日本人に説教をたれているくせに、非常時となると無知な大衆よろしく逃げまどう外国人には呆れ果ててしまいました。
参政権は、運命共同体を貫く覚悟のある者のみに与えられる特権であると考えております。

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silver

はじめまして
最近ヤフーの知恵袋と言うのを見たのですが、飛行機ヲタクの質問でLook-Ahead Terrain Modeの有用性について747のベテランパイロットのブログで知った。
とかの話があったのですが、出所をやっと発見したと言う思いです。
747で飛んでいるという事は会社も特定されます。定年を迎えたからにはブログで何を書いても良いという事でしょうか?
あなたの会社の場合はより慎重になるべきではないのでしょうか?2001テロ以来シミュレーターの公開など厳しくなる方向にあると聞きます。
本来アメリカはそれ以前のに起きたあなたの会社の重大な事件を教訓とすべきだったのです。
それを考えればブログに書ける内容と言うのは自ずと決まってくると思いますが。

早々
by silver (2011-05-15 22:51) 

クロネコ

毎回ブログ更新楽しみにしております。

いろんな意見あると思いますが、FDキャプテンのブログを読んで一般人が操縦してハイジャックすることはないと思います。

僕らにとってはコクピットは夢の世界。

これからも空の世界を教えてください。

自分はFDキャプテンのブログをトラックの運転にいかしております。

スマートに走りたいものですね。
by クロネコ (2011-05-16 12:18) 

アドマンSFC

西からのLDA23と言う可能性もあるのでしょうか?
最近、南風でも以前の16Lの様な楽しめるLandingが無くて…。
航空行政の問題もあると思いますが、やはり西からはRWY23、東からはRWY22が効率的に良いと思いますが…。

今の政権…。言う事が無いですね。
今回の福島の件は、完全な政府(首相)の失策なのですから、電力会社の幹部の給与半減だけでなく、政治家も全員「歳費返上」が当然と思うのですがね。
外国人への参政権は仰るとおりですね。
by アドマンSFC (2011-05-16 13:14) 

FD

私にブログがお役に立っているそうで、ありがとうございます。
車の運転、道路交通法を守るだけではなく、他車への気配りも必要だと考えております。
右折する時、直進車の邪魔にならないようにするとか・・・・・


西からLDA 23の可能性、トラフィックが少なければ可能性はあると思います。

羽田へアプローチする飛行機。西からが7割、北からが3割だそうなので、
トラフィックの多い西からの飛行機を22に着陸させています。
23は16L/Rからの離陸機と交錯しますので、処理出来る着陸機が少なくなるのです。

16Lへの着陸。南東からの強風時に限られるでしょう。

by FD (2011-05-17 10:30) 

トメ

FDさんこんにちは。

ATCを聞いていると、羽田発福岡行きの飛行機が、HILLS廻りで出発していることを知りました。全てなのか?出発機で混雑する朝だけなのか?
福岡行きは西方面、常に南回りのKAMAT経由だとばかり思っていたのでビックリです。
実際のところ、北廻り、南回りはどのように区別されているのでしょう。

FDさんの良識あるブログには感心してしまいます。運航に関わる部分を含め、良い言葉を選んで記述されていらっしゃると思います。
FDさんに触発され、最近ブログはじめたんです。良かったら見に来てください!(犬がメインですけどリンクしても良いですか?)
by トメ (2011-05-17 13:02) 

トメ

FDさん、たびたびすいません…

もう一つ質問があったんです。
IAS(指示大気速度)でのスピード制限とマックナンバーによるスピード制限は、どのように使い分けられているのでしょう?
管制の都合なのでしょうか?飛行機の操作性の問題なのでしょうか?
今回の記事の場合には、IASで指示されればミニマム・マニューバリング・スピードとの対比が即座に認識できますよね。

少なくとも、自宅上空(東京の西のはずれ)を通過していく飛行機はIASで減速を指示されているようです。
by トメ (2011-05-17 13:18) 

アドマンSFC

早速のご返答ありがとうございました。
これからもA列キープで期待しながら羽田便に搭乗します。
-400への搭乗機会がメッキリなくなってしまい寂しい限りです。
by アドマンSFC (2011-05-18 11:54) 

FD

北風時の離陸機は05と34Rを使いますが、1時間当たりの出発便数は
28便 :12便となっており、西/南方面は05、北方面は34Rを使います。
南風時は16R/16Lを使い、22便 :18便となっておりますので、16Lからは
北方面の他、北陸方面・福岡・広島・長崎便も出発し、離陸後は左旋回をして
HILLS経由となります。

管制からの指示は、高々度(概ね3万以上)ではマック・ナンバー、低高度では
IASによる指示となります。
高々度巡航中のマック・ナンバーは、機種によって違いますが、概ねM.75~M.85
の間にあります。一方のIASは、4万でM.75は225ノット、3万でM.85は
325ノットと大きな差が出てしまいますので、IASによる速度調整を行うのは
かなり難しいと思われます。


-400の出番は少なくなって来ておりますので、私の残りのフライトも10回はないと思います。

by FD (2011-05-18 15:48) 

トメ

FDさんこんにちは。

ありがとうございました。
南風のほうが、HILLS廻りの出発機がふえるのですね!
SEKIDをパスして、ダイレクトMAGOHの機が自宅上空を通過しているようです。

高高度では、マックナンバーでないと指示しきれないかもしれませんね。理解しました。

あと10回のフライトが充実したものでありますよう、お祈りしています。(その回数が増えることも!)
頑張ってください!
1度は、CAP_FDの-400に乗りたいですね~。
by トメ (2011-05-18 22:50) 

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