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ハードランディング [航空関係]

成田空港で起きましたB767の事故(国土交通省が認定)の映像を見ますと、メイン・ギアが接地した後、勢い余って、ノーズ・ギアを激しく滑走路に叩き付けているように見えますが、その衝撃で機体にゆがみが生じたのでしょう。
同じ成田空港で起きましたフェデックスのMD11の事故に極めて似た状況のようですが、一歩間違えばと考えますと、ぞっとしましたね。
フェデックスの場合、メイン・ギアが接地した衝撃で機体が跳ね上がり、再度ノーズ・ギアから接地していました。その為、ノーズ・ギアが衝撃に耐えきれずに破損し、大事故につながったようでした。

事故の原因は?元機長だという航空評論家は、「気流の変化があったのだろう」 などと、役にも立たないコメントを述べていましたが、最大の原因は、私が以前から主張しておりますように、成田に横風用滑走路を造らなかったことだと考えております。南西からの強風の時、成田の気流は最悪となるのです。
横風用滑走路は半分出来ていたんですよ。現在の C 誘導路が滑走路 03/21 になるはずだったのです。
しかし、運輸省(当時)と空港会社は安全よりも商売を優先して、16L/34R を先行して完成させたのです。
フェデックスの時は西北西からの強風でしたので、03/21が完成していたとしても、役には立たなかったでしょうが。

blogrjaa0321.gifあああああああ誘導路 C は滑走路の形をしております。

「国内の空港で横風用滑走路を持っているのは羽田ぐらいではないか」 と仰いますか?
成田のように長距離国際線が主体の空港と国内線主体の空港では条件が全く異なります。
国内線の飛行時間は1~2時間程度ですので、気象状況変化への対応が容易ですが、10時間を越えるような国際線のフライトでは対応が難しいのです。半日以上先の気象状況を見極める必要がありますからね。

更に国内線では、目的地の鹿児島が駄目なら羽田へ引き返すとか、福岡へダイバートしてそこで運航を打ち切ることも可能ですが、国際線ではそう簡単には行かないのです。早い話、行くところがない!
他空港へダイバートして、そこで終わりにする事を、航空局がなかなか認めてくれないのです。
以前、成田が今日と同じような気象条件の時、キャセイのトライスターがハードランディングをして燃料タンクを突き破り、滑走路が閉鎖されて羽田へダイバートした事があったのですが、乗客を降ろすことを認めてもらえず、空港の再開を待ってまた成田へと引き返したのでした。

全ての負担をパイロットに押しつけてしまうような航空行政を改める事が先決でしょう。

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kingair350

先日の台風の時に成田空港でB767の事故が起きたんですか?
検索してみたんですがそのような事故が一昨日あたり起きたというのが見つからないのですが・・

ただB767が2003年1月27日にオーバーランした件なら検索したら出てきましたがこれのことですか?
by kingair350 (2012-06-21 07:20) 

バニー服部

はじめまして。ちょくちょく読ませていただいております。

最近、尻もちや着陸事故が多いですね。2月仙台A320、3月羽田B777、6月成田B767。8月頃?!?!?!

確かに最近パイロットさんに無理な着陸心理が働いているんではないでしょうか?

安全(他業種では品質)とコストダウンの兼ね合いが現場任せ。

大事故が起きるまで経営と行政は変わらないでしょうね。

しかしグローバル競争に勝たなければなりませんし・・・。

やはり行政に世界一安全な空港を作ってもらうしかないですね。
(仁川国際空港なんか着陸しやすそうですが、どうなんでしょ?)
by バニー服部 (2012-06-21 08:09) 

二つ星

はじめまして。 

着陸スピードとはいえ、かなりの負荷が掛かるのですね。

この場合はセクション交換で済むのでしょうか?ギア取付部、主翼、思わぬところまで応力が残りそうです。
時間も費用も掛かりそう。

国にしろ、会社にしろ監督者の頭の固いこと、作文して、はい終り。
やってみたのか?愚痴になりました。お許しください。

ダイキャストモデル、すごいですね。
実車かと思いました。
by 二つ星 (2012-06-21 11:59) 

FD

横風の風速が規程内に収まっていて、他の飛行機も着陸を続けている。
「止めて他空港へ行こう」 とは言い出しにくいんですよね。

経営者がグローバル云々と言いだしてから、労使関係がギクシャクしてきた
ように思われます。
こんな会社が一番の要注意でしょう。
100%安全でないと納得出来ないらしい今の日本人。世界一安全な空港を
造ろうではありませんか。

あの機体を修理するとなると、シワの入った部分を輪切りにして、ソックリ付け
替えるしか方法はないでしょう。ノーズ・ギア周りも傷んでいるでしょうし。

by FD (2012-06-21 15:15) 

TA

こんにちは。以前にコメントさせて頂いた者です。

成田は風の影響が強いのかな?と思っていましたが、FD様の説明で納得出来ました。(昨年は大韓も横風に煽られてましたし…)

再利用して欲しくないのが本音ですが、仮にレジ番調べても搭乗前には利用者側には判らないので仕方ないですね。
昔に比べて青社は重大インシデントが増えたような気がします…。
飛行機も車と同じで乗ってしまえば100%安全な乗り物ではないです。だからこそ沢山の命を預かるパイロットの方々の責務を思うと、毎回無事に運んで頂く度に感謝しております。

今の航空行政は改めるべき所か緩和と商業重視ばかりで、しわ寄せが現場や安全面に出てくるのは当然の結果かと思います。
この先何もない事を願うばかりです。
by TA (2012-06-21 16:35) 

カイホ

N?Kの動画が確認できました。
メインギア接地の後、激しくノーズギアを接地、反動で再び機首が跳ね上がり再度ノーズギアを接地、さらにバウンドして3回目でようやく ノーズギアをランウエイに接地させています。
この間、2回の大きな白煙があがっていました。

「成田には魔物が潜む」 といったパイロットの神話、これは 真実 なのですね。
by カイホ (2012-06-21 21:08) 

カイホ

続けざまのコメントで恐縮ですが、昔の話しを思い出しました。
自宅(集合住宅)に赤社でCAPをされていた知人がいます。
職業がパイロットだとわかると、必ず聞かれる質問があるそうです。
1)年収は?2)CAと付き合った事ある?3)好き(嫌い)な機種(空港)は?
ほとんどこの三つだそうです。

キャプテンもさんざん質問されたと推察いたします。
彼の回答は以下のごとく

1)ネットで公開されているほぼその通り。
2)イエス、今の女房(再婚)は元CAです。
3)難しい機種は737、難しい空港は成田。
と答えていたそうです。

キャプテンの持論のように早く03-21が増設されるといいですね。
by カイホ (2012-06-22 20:55) 

FD

霧などで天気が悪い時には、進入限界高度まで降下して滑走路が見えな
ければ進入復行をすれば済むことですが、横風が強い時は進入を続けるか
止めるかの判断が難しいのです。


動画で再度確認したのですが、メイン・ギアは一度接地した後に跳ね上がり
2度目にはノーズ・ギアから接地してましたね。
ノーズ・ギアが丈夫でなによりでしたが、もし折れていたりしたら大事故に
なっていたことでしょう。


確かにパイロットだと分かると、色々な質問が浴びせられます。
私が一番往生した質問は、「何処を飛んでいるのですか?」 でした。
一言では言えませんよね。
ですから私は、なるだけ身分を明かさないようにしていました。
嫌な思いばかりをしましたので。

難しい(嫌いな)空港。乗っていた機種にもよるでしょうが、
① 八丈島。
② 冬の小松。
③ 宮崎のRwy09

好き(嫌い)な機種。
B747-400
(YS-11)

成田に03/21が造られる可能性はゼロです。

by FD (2012-06-22 21:37) 

キネマ航空CEO

タイミング遅れのコメントで申し訳ありません。

該報道で気になったのは「報告したのは整備関係者」となっていますが着陸後はコックピット・クルーの職掌もしくは職域から外れるのでしょうか?(離陸前の機体点検はされているようですが)

横風のお話、大変興味深く拝読いたしました。
飛行機の創成期の飛行場は広い平坦地で滑走路などなく、適宜風向きにあわせて離着陸できるエア・フィールドであり米国ではそれに準じて交差したり多角形で複数の滑走路を持つエア・ポートとなったようです。

いっぽう日本のような一本もしくは平行した滑走路をもつエア・ストリップ型の空港ができたのは航空機が大きく重くなって慣性による安定と着陸速度が早くなったこととのバランスで可能となったと思考しています。もちろんご指摘の問題点が放置されているのですが。

ところでA380のように747の30%近く重くなった機体を現行の滑走路長で運行する離着陸速度で運行すると創成期の機体と同様の横風(突風)耐性に近づいていくのではないかと思われます。

とくにA380など横風に対する形状抵抗はかなり大きくなっていると考えられます。その点747の形状はそれなりの意味があるように思えます。

A380は日本ではLCCの一社がエアストリップ型の空港に導入をすることになったようです。
本来なら空港運営会社や航空局での導入可否の検討がなされるべきですがご説明ではあまりなされていないのかもしれません。素人ながら心配になってしまいます。

このあたり運行サイドの現役やOBのパイロットの皆さんはなにか施設や運行の改善について対応を検討もしくは提案などされているのでしょうか?

A380の導入への行政介入や運行の差別化を行なうとEUから非関税障壁とクレームを付けられそうです。しかし、かといって・・・

ルフトハンザは747-8も平行発注したようです。どのように路線の使い分けをするか興味を持っています。
by キネマ航空CEO (2012-06-23 16:55) 

FD

着陸後、ハードランディングとの認識があったキャプテンが、整備に機体点検
を依頼したところ、機体のシワを発見したようですね。
依頼したキャプテンも、そこまでの大事に至っているとの認識はなく、
車輪周りの点検を期待していたと思われますが。

報告は当然、整備サイドからも乗員サイドからも行われたはずです。

by FD (2012-06-23 22:34) 

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