パイロットが変わってきている?その弐 [航空関係]
今週号の週刊新潮で、新生 JAL をこき下ろしていました。曰く、
① 機長が燃料節減のため、台風を迂回しないで突っ込んで行った。
② フライト前に肋骨を骨折したが、整理解雇の対象者になるのが怖くてそのまま飛んだ。
③ 管制から速度を上げるように指示されたが、会社の指示で速度が上げられないと答えた。
いずれも、さもありなんと思えるような話かもしれませんが、いささか疑問ですね。
① 確かに台風の中心に突っ込むのは危険ですが、台風と言っても強さは色々。端をかすめるぐらいは問題ない場合もあります。
この事例は共産党議員の指摘で明らかになったとのことですが、機長がいちいち 「燃料費20万円を節約するため」 などとアナウンスする訳がないでしょう。
② これには困りましたが、「機長が肋骨を骨折したので欠航する」 と案内したら、それくらいの骨折、根性で飛べと言って騒ぎになるかも。私がサーキットで肋骨を骨折した時には、自分でトランポを運転して家まで帰ってきましたが。
(注)身体検査基準には、「骨又は関節の重大な疾患若しくは外傷、運動機能障害がない事」 となってますが、骨折は外傷になるでしょうね。
女性パイロットが増えておりますが、「妊娠していないこと」 との項目もあります。しかし、どの時点をもって妊娠したと言うのでしょうか?
③ これもマユツバ。この場合は立派な航空法96条違反となり、5万円以下の罰金に処せられます。「気流が悪く揺れがあるので、速度を上げられない」 と言うのが正しい?対処法。
同じく記事の中で、「利益を捻出しなければと考えながら飛んでいるパイロットが増えている」 とも言っておりましたが、これには同感です。
現役時代、経営者のような考えをするコーパイを何人も見てきました。洗脳されている?
航空会社にとって安全は大事なのですが、経営者とパイロットでは優先順位が違ってくるでしょう。
パイロット : 安全性-快適性-定時性-経済性
経営者 : 経済性-定時性-安全性-快適性
話は変わって、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、これまで探知することが困難だと思われていた晴天乱流(CAT:Clear Air Turbulence)を、レーザー光線を用いることにより探知することに成功したとのニュース。
喜ばしいことではありますが、探知できたのが6キロ前方、30秒前では実用化には程遠いと言えます。
30秒前に予知できたとしても、パイロットは対応のしようがありません。せいぜい、ベルト・サインを点灯するぐらいでしょうが、30秒前ではお手洗いを使っている乗客の方が席へ戻る余裕もないでしょう。
それに、現在飛行中の高度からどれほど離れれば避けられるのかが分かりませんと、役に立ちません。
研究者のご努力には敬意を表しますが、更なる改良に期待をしております。
① 機長が燃料節減のため、台風を迂回しないで突っ込んで行った。
② フライト前に肋骨を骨折したが、整理解雇の対象者になるのが怖くてそのまま飛んだ。
③ 管制から速度を上げるように指示されたが、会社の指示で速度が上げられないと答えた。
いずれも、さもありなんと思えるような話かもしれませんが、いささか疑問ですね。
① 確かに台風の中心に突っ込むのは危険ですが、台風と言っても強さは色々。端をかすめるぐらいは問題ない場合もあります。
この事例は共産党議員の指摘で明らかになったとのことですが、機長がいちいち 「燃料費20万円を節約するため」 などとアナウンスする訳がないでしょう。
② これには困りましたが、「機長が肋骨を骨折したので欠航する」 と案内したら、それくらいの骨折、根性で飛べと言って騒ぎになるかも。私がサーキットで肋骨を骨折した時には、自分でトランポを運転して家まで帰ってきましたが。
(注)身体検査基準には、「骨又は関節の重大な疾患若しくは外傷、運動機能障害がない事」 となってますが、骨折は外傷になるでしょうね。
女性パイロットが増えておりますが、「妊娠していないこと」 との項目もあります。しかし、どの時点をもって妊娠したと言うのでしょうか?
③ これもマユツバ。この場合は立派な航空法96条違反となり、5万円以下の罰金に処せられます。「気流が悪く揺れがあるので、速度を上げられない」 と言うのが正しい?対処法。
同じく記事の中で、「利益を捻出しなければと考えながら飛んでいるパイロットが増えている」 とも言っておりましたが、これには同感です。
現役時代、経営者のような考えをするコーパイを何人も見てきました。洗脳されている?
航空会社にとって安全は大事なのですが、経営者とパイロットでは優先順位が違ってくるでしょう。
パイロット : 安全性-快適性-定時性-経済性
経営者 : 経済性-定時性-安全性-快適性
話は変わって、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、これまで探知することが困難だと思われていた晴天乱流(CAT:Clear Air Turbulence)を、レーザー光線を用いることにより探知することに成功したとのニュース。
喜ばしいことではありますが、探知できたのが6キロ前方、30秒前では実用化には程遠いと言えます。
30秒前に予知できたとしても、パイロットは対応のしようがありません。せいぜい、ベルト・サインを点灯するぐらいでしょうが、30秒前ではお手洗いを使っている乗客の方が席へ戻る余裕もないでしょう。
それに、現在飛行中の高度からどれほど離れれば避けられるのかが分かりませんと、役に立ちません。
研究者のご努力には敬意を表しますが、更なる改良に期待をしております。
地上で碌をはむ者にとって「安全」といっても、不安全が生む
「事態のシリアス度」は、たかが知れているケースも多々あります。
一方、空の場合は言わずと知れた・・・。
以前、何かで見聞きしたのですが、地上整備委員のノウハウや経験値は、
「故障機器のキャリーオーバーの決断」と。
キャリーオーバーの可否はルールに基づくような気がしますが、
この種の話で、安全性と定時性(経済性?)について、地上整備サイドと
パイロットサイドで協議が生じる、又はその際の論点がずれつつある、
という事は、あるのでしょうか?
お若いパイロットは、洗脳じゃなくて洗練と反論することでしょう(笑)
by 皮算用 (2012-07-29 09:11)
キャリーオーバーについてはこの記事が参考になると思います。
http://fdc.blog.so-net.ne.jp/2009-12-17-1
by FD (2012-07-29 15:09)
お久しぶりです。だいたい科学的な記事には物足りなさを感じますよね。本当?って思いますよね。本当?って思ったら普通は更に突っ込んで調べますよね。(取材するべきですよね。)でも最近の若い人(に限らず?)って本当に本当?って思うことなく何でも鵜呑みする人が増えてるんじゃないかと.....気のせいなら良いのですが。
by SpeedBird (2012-07-29 17:44)
週刊誌の記事。
本当だろうか?と思いながらも、信じてしまう場合が多いですよね。
しかし、自分がよく知っている事件・事柄については間違いが多すぎるように
思います。
新聞記事も同様。被害者と加害者の名前が入れ替わっていたり・・・・・
週刊文春に圧倒されて、新潮も焦っているのかもしれません。
by FD (2012-07-29 21:04)
早々のご回答、ありがとう御座います。MEL記事を改めて拝見しました。
物事を判断する基準が「責任と権限」なのか、「ルール適合か否か」なのかで、
回答が変わる一例と感じました。
世の中の流れとしては、残念ながら、後者にシフトしてゆくのでしょうね。
雑誌や新聞記事、私の業界記事においても、理解不足を感じるモノは散見します。
優秀な記者さんが、限られた時間で起承転結をまとめるので、やむを得ないのかな
と、理解していますが・・・。
by 皮算用 (2012-07-30 12:10)
「ルール適合か否か」 で判断できれば、かえって楽だと思うのですが。
ところが MEL の記載はあえてそうしているのか?あやふやな表現なのです。
「原則として・・・・・」 のように。
by FD (2012-07-30 15:37)