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TOKYO エアポート その四 [航空関係]

今回のストーリーは、羽田では使える滑走路が22の一本だけ。成田は強風で滑走路閉鎖。そして緊急事態を通報した飛行機が2機。
まるでパイロット訓練で行われている、LOFT(Line Oriented Flight Traning)のような設定でした。

政府専用機を後回しにしたのが正しかったか?の判断は置いておきまして、最大着陸重量を超えている飛行機は着陸できないのか?と言う点から考えてみたいと思います。

近藤管制官は、「最大着陸重量を超えているので着陸させられない」 と言っておりましたが、耐空性の規定では着陸可能なのです。ただし、360フィート/分以下 の降下率で接地させる必要があります。
飛行が続けられないような緊急事態の時、重量オーバーなどと言っておられませんからね。
ちなみに、最大着陸重量で着陸する場合は、600フィート/分以下の降下率となります。

当日は西南西の強風でした。着陸許可を出す時、22に対して 250度/23ノット、突風28ノットと言っておりましたが、Head Wind が強い時は対地速度が遅くなりますので、ショート・ファイナルでの降下率も少なくなるのです。
また、10分か20分旋回しただけで最大着陸重量に収まるのであれば、たいした重量オーバーではなかったのではないでしょうか。
それでは、360フィート/分を超える降下率で接地したら、近藤管制官が言うようにメイン・ギアがが折れてしまうのでしょうか?否、飛行機は常に余裕を持って造られていますので、多少の規程オーバーで壊れることはあり得ないのです。
そこで私が考える、もっとも適切と思われる処置は、
「最大着陸重量を超えてはいるが、パイロットの責任で政府専用機を先に着陸させる」 となります。

747-400の最大離陸重量は395トン。最大着陸重量は265トンですので、130トンもの差があります。そのため、離陸直後の引き返しなどに備えて燃料を放出するための装置が必要になってくるのです。
ただしその差が小さい場合、(確か7%だったような気がしますが、確信なし)装備する必要がありません。と言うことで差が小さかったYS-11には装備されていませんでした。
なおボーイングは、6,000フィート以上で燃料放出を行うよう奨励しています。確か、管制方式基準でもそうなっていたような。

しかしね~、部下をかばうのが部長の仕事では?上からのお叱りを部下に伝えるだけの部長の下では働きたくないね。

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皮算用

えっ、「パイロットの責任で着陸」は、「度胸一発」という意味ではなく、
「360フィート/分以下 の降下率」であればルールの範囲内・・・ですか。。。

私の印象は、本当に急を要する治療であれば、着陸後B44をスポットに付けずに、
高速脱出用の誘導路にドクターヘリを待機させるのがベターでは、と考えました。

ところで燃料の緊急投棄、レシプロの航空ガスであれば蒸発するような
気がしますが、ジェット燃料(灯油をイメージ)って、
本当に蒸発するんですかね。あんなベタベタしたもの???

by 皮算用 (2012-11-19 20:22) 

アドマンSFC

FDさん

毎週の解説、楽しみに拝見しております。

>しかしね~、部下をかばうのが部長の仕事では?上からのお叱りを部下に伝えるだけの部長の下では働きたくないね。

最近は、そんな上司が増えました。自己保身ってやつですね。
by アドマンSFC (2012-11-19 22:00) 

バニー服部

片肺、電機系が怪しい飛行機を先に降ろす方が、滑走路をふさいでしまうことになるかもしれないと思ったのですが。

だいたい、政府専用機の747ってどれだけ自重が重いんでしょう?
燃料満タンにしても、乗客は100人程度では?武装、装甲で重いとか。
by バニー服部 (2012-11-20 01:16) 

FD

管制官が着陸を強要することは出来ませんので、規程をオーバーしている場合
PICの自己責任でと言うことになります。
記事に追加しましたように、6千フィート以上で放出すれば地上に届くことは
ないそうです。


仰るように自己保身ではなく、部下の防波堤になって欲しいものです。


政府専用機には大臣とそのスタッフ。同行記者団ぐらいしか乗っていないで
しょうし、貨物も殆どないと思いますので、一般の旅客機よりもかなり軽い
でしょう。
エアフォース・ワンは分かりませんが、政府専用機に武装・装甲などの特別な
装備はないでしょうね。

by FD (2012-11-20 08:23) 

おすぷれい26

羽田から離陸後40分でエマーという設定になっていたと思いますが、羽田への引き返す決定をした時点でスグに着陸重量がオーバーしそうな事は判明すると思います。その場合は当然ですが燃料ダンプをする訳で……トウキョウAPPにコンタクトしてから燃料ダンプを政府専用機が要請だなんてあり得ないと思うのですが…。
by おすぷれい26 (2012-11-21 10:04) 

トメ

FDさんこんにちは。
ハッピーフライトのような展開ですね。
何が何でも出発空港に戻るというのが「オカシイ」
羽田を離陸してオーストラリアへ向けて40分。
すでに太平洋上です。
離陸時より関東は風が強いことを承知しているのですから、そんな条件の悪い場所に戻らなくても。
セントレアか関空か。広島、福岡でも良いのでは?

仮に羽田だとしても「大丈夫だと思ったのですが燃料を使い切れませんでした」って、FMSで到着時の残燃料はわかるでしょうに!
ギリギリなら、最大着陸重量を下回れないことがわかった時点で減速、フルフラップにギアを降ろしてエンジンぶん回せば…

管制官の物語ですから、パイロットを責めてもしょうがないですね。
by トメ (2012-11-21 16:51) 

カイホ

事実は小説より奇なり・・・といいますが、キャプテンのコメント通り
何か変だなと感じてました。オンエアの18日当日、羽田では本物の政府専用機が理由不明の出発遅れ。皆イライラ、おかげでDランではドラマよろしくの管制と青組パイロットのイザコザ。今朝の新聞みて溜飲をさげました。発着枠・・・。キャプテン!青組もうかうかしていられないかも。

でもこのドラマ、Rガイド・Hセット・運航票・eチケット・搭乗券・数字+アルファベット便名 等々 すべて本物!流石です。なぜか?キャプテンも気づかれたと思いますが、本物にしかない偽造防止の仕掛けがちゃんとあったからです。ただし搭乗券に 搭乗日 がありませんでしたね。

いやはや、このプロデューサーなかなかのヤリ手です。
ドラマも目がはなせません。
by カイホ (2012-11-21 20:13) 

カイホ

しつこいようですが、この日の管制には少し腹がたったので付け加えます。「どのように発出したか」が問題ではなく、「パイロットにどのように聞こえたか」が重要なのです。無線はPTT押して 一息おいてから発声するもの、またデルタ デルタ1は続けて発声すると聞き違えるかも。
by カイホ (2012-11-21 21:24) 

FD

燃料を何処で捨てるかは難しい問題ですね。
何が起きるか分かりませんので、できるだけ燃料は持っていたいところですし。

ハッピーフライトでも、何で羽田に引き返したのか疑問に思ったのですが、
仰るように関空が良かったかもしれません。
羽田の滑走路3本閉鎖の情報がいつ届いたかにも依りますが。
ところで、首相ならともかく、大臣の外遊に政府専用機を飛ばすでしょうか?

政府専用機の機体重量がどれほどだったか推測してみますと、
運航基本重量(乗員・食料等を含む):420,000Lbs
燃料:300,000Lbs
乗客50名+貨物:10,000Lbs
離陸重量:730,000Lbs

離陸1時間後に着陸するとしますと、着陸重量は約705,000Lbsとなり
最大着陸重量584,000Lbsを121,000Lbs程オーバーしていることに
なります。

着陸する時の風を 250度/23ktG28kt と言ってましたので、16/34
でも横風制限30ノットを超えていませんでした。
政府専用機を 34 に降ろす手があったかもしれません。

なを Gust Wind を報じるのは、平均風速を10ノット以上超えている場合
ですので、風速23ノット/最大28ノットとは報じないはずです。
ただ、気象通報式 METERでの話ですので、管制官が口頭で言うことは
あるかもしれません。現役時代、どうだったか・・・・・

このドラマ、結構なこだわりを持って作っているようですね。
管制塔内などは、古いタワーを使って撮っているのでしょうが。

by FD (2012-11-22 09:49) 

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