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バックサイド・アプローチ [航空関係]

バックサイド・アプローチとはアプローチの種類ではなく、飛行機の飛行特性から来る特異な状態でのアプローチを言います。

pch.gif左の図は縦軸に抗力および推力を取り、横軸に速度を取ってあります。
黒線は飛行機の速度によって変わる抗力の変化を表していますが、自動車等とは違い最小抗力速度(Minimum Drag SPD)E 点より速度が低くなるとかえって抗力が増えています。
これが飛行機の特異な抵抗特性で、低速で機首上げ角が大きくなるとそれによる誘導抗力の増加が空気抵抗による形状抗力の減少を上回るようになるからです。
この最小抗力速度 E 点より高速側をフロントサイド、低速側をバックサイドと呼んでいますが、バックサイドでは飛行機は速度的に非常に不安定な状態となります。



飛行機が赤い線で示した一定の推力を保って飛んでいるとしますと、抗力と推力が釣り合う A 点では速度は安定しています。その時、何らかの外的要因により速度が B 点まで増加したとしても抗力が推力より大きくなって来ますので、推力を減らさなくても速度は A 点まで戻ります。逆に速度が減って C 点まで減少しても、今度は抗力が減り、推力を増加させなくても推力の方が上回って来ますので速度は A 点まで回復します。飛行機はフロントサイドでは正の安定性がありますので多少ルーズな操縦を行っても問題ないわけです。

一方同じ釣り合い点でもバックサイドの D 点では、速度が遅くなると推力より抗力が急激に増加しますので、更に速度の減少が早まります。逆に速度が速くなると抗力が減り、推力の方が大きくなりますので、ますます速度は増加し、最終的には A 点まで加速する事になります。この不安定な速度特性は特に着陸時に顕著となります。

飛行機の着陸速度はフロントサイドにありますが、後退翼機の場合、直線翼機に比べてよりバックサイドに近くなっていますので、特に速度が減少した時は素早く、大きなパワーアップが必要となります。

余談ながら、バックコース・アプローチと呼ばれる進入方式がありますが、これは ILS ローカライザーのコースを通常とは反対の方向から進入するもので、日本では設定されておりません。

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