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RNAV [航空関係]

RNAV とは Area Navigation の略称で広域航法と訳されています。

上の図のように航空保安無線施設(VOR)の直上を結んだこれまでの通常航法とは違い、経路の直線化、一方通行化などが可能となり、航空交通の混雑緩和、安全性の向上などが期待できます。

RNAV による運航はこれまでも行われていましたが、先月の27日(木曜日であることが重要ですね)から航法精度を指定した新たな RNAV 運航が開始されましたので、私自身の頭の整理を行うためにも、RNAV について運用者(パイロット)の視点から考えてみたいと思います。


現在運用されている航法の種類は、
① 通常航法 : 航空保安無線施設の直上を結んだ経路を飛行。航法機器としては VOR、ADF が使われる。

② 自蔵航法 : 航空保安無線施設が使えない太平洋上等のルート。航法機器は慣性航法装置だが、 GPS 等によるアップデートを受けていない場合は飛行時間が制限される(-400の場合、約13時間)
航法機器を慣性航法装置に限定した RNAV 航法の一種と言える。

③ RNAV 航法 : 航法精度を指定しない RNAV 航法と指定した RNAV 航法に分かれるが、航法機器としては航空保安無線施設、慣性航法装置、GPS がある。航法精度を指定した RNAV 航法は RNAV1
(ターミナル空域:航法誤差1海里以内)、RNAV5(エンルート空域:航法誤差5海里以内)に分かれるが、将来は航法精度を指定し、なおかつ航法性能モニターと警報機能を必要とする RNP 運航に移行する予定だそうです。
RNAV1 : 航法機器としては DME/DME/IRU(Inertial Reference Unit)または GPS があるが、GPS のみを使用した RNAV1運航は実施しない事となったようです。
GPS により RNAV 運航が可能になったかのような記述が一部に見られますが、これは間違いですね。
RNAV5 : 航法機器として DME/DME、VOR/DME、慣性航法装置、GPS がある。

従来から行われていた RNAV(GPS)アプローチは航法精度を指定しない RNAV 運航に分類されます。
RNAV アプローチを行う場合、RNP 0.3を入力していますが、これは必須項目ではなく、あくまでも念のための入力だそうです。

クリティカル DME : 当該施設が利用できなくなった場合、RNAV 運航に支障を生じさせる DME の事で、AIP に公示される。クリティカル DME が利用できないときは、DME ギャップが14海里以内であることを確認する。これを超える DME ギャップが存在する場合、RNAV1の運航を行うことはできない。
福岡空港を例にとりますと、NAKASU EAST RNAV アライバルに関連するクリティカル DME は TAE (大分VOR)と DGC(福岡VOR)となっていますが、DGC が運用されていない時には22.8海里のDME ギャップが生じますので、このアライバルを行うことができません。

RNAV の整理がついたところで、航法精度が指定されたRNAV運航を行ってきました。
9月27日早朝便。コーパイさんが入力した FMS データを見てみますと、データベースの更新が行われず、古いサイクルのままになってます。「今日から新しいサイクルに入るでしょう?」 と言いますと、「いえ、まだ午前9時になってませんので、古いサイクルのままにしてあります」
確かに更新の日時は9月27日0000UTC になってますが、0000UTC(日本時間午前9時)になったとたん、SID が変更になったら困るでしょう。この場合、朝イチの運航から新しいサイクルのデータを使っていいんですよ。

目的地の長崎空港は南風で、ランウェイ14が使われています。早速やってみようではありませんか、RNAV Rwy14 と SARUKU RNAV アライバルを。ここで余談、SARUKU とはどんな意味?九州の方言で散歩すること、歩き回ることを 「さるく」 と言うんですが、これから来ているのでしょうか?

福岡コントロールから降下の指示が来ました、
“Descennd to Reach FL260 by 30nm East of DGC ”
コーパイさんは DGC の手前30海里のところにウェイポイントを作りました。ここまではいいんです、ここまでは。ところが、「FL260を入力します」 と来ましたよ。何で後先も考えずに高度を入力するの?
まずは FMS が計算する予測通過高度を見て、必要であれば高度を入力するのが正解ですよ。予測通過高度が FL260以上になる時だけ入力すればよいのです。FMS が計算しています・・・・・
予測通過高度は FL251でした。ほらね、こんな時は FL260を入力する必要はありません。と言うより、入力してはいけないのです。後でスピードブレーキが必要になってくる可能性がありますからね。

次の日の函館便も滑走路は30でビジュアルアプローチが行われていましたが、
RNAV Rwy30を要求しましたところ、“Cleared for RNAV Rwy30 Approach via ENIWA RNAV Arrival ” の管制指示がありました。 天気のよい日に、どんなコースを通るのか確認しておきますと、今後の参考になります。
この RNAV30アプローチは汐首岬の放送アンテナ(高さ983フィート)の真上を通るんですね!通常の VOR アプローチではこのアンテナを避けて海の上を通りますので、滑走路に対して28度のオフセットになっているのですが、RNAV では10度のオフセットに収まっています。新しい設定基準のおかげですね。



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