VNAV Path と VNAV Speed [航空関係]
巡航高度から目的地空港へ向けて降下を行う場合に使う VNAV のモードには、Path と Speed 、二種類のモードがあります。
Path モードの場合、パイロットが降下の終了点を設定してやれば（上図では SPENS/FL１６０）、FMS が計算した降下開始点（Ｔ/Ｄ）との間に、一直線となる降下経路を設定します。この降下経路の角度は上層風の増減があっても常に一定で変化する事はありませんが、その代わり降下速度が変化する事になります。
一方の Speed モード（黄線）では、あくまでも降下速度を一定に保とうとしますので、Ｔ/Ｄから降下を開始したとしても、上層風の変化の影響を受けて、上図のように降下の経路が一定せず、SPENS/FL１６０も保証されません。
管制の指示通り、SPENS で丁度 FL１６０になるよう降下するには、どちらのモードが使いやすいかは、素人目にも明らかでしょう。
Path モードを使わない人に理由を聞きますと、「降下速度が変化するのは管制上 好ましくない」 とか、「速度が減ってくると、パワーが出てしまうから」 と言う事らしいのですが、風の影響はどの飛行機も等しく受ける訳ですから、速度が変化する事に、それほどの不都合はないと思いますよ。
速度が減ってきた時には、オート・スロットルがパワーを出す前に（ECON SPD －１５ノットでパワーが出ます）Speed Intervention を行って、一時的に Speed モードにしてやればよいのです。そして元のパスに戻ってきたら、 Intervention をキャンセルして、再び Path モードとします。戻らなかったら？そのままパスの下を飛んでればいいんですよ。
Speed モードで降下していて、SPENS までに FL１６０に到達できそうもない時にはどうするのか、聞いてみましたところ、「速度を増やして適切なパスへ戻すか、スピード・ブレーキを使います」 との事。
あれれ、速度を変えたくないから Speed モードで降下してるんじゃなかったっけ？
いつも専門的なことを図解入りでわかりやすく説明して下さるので、とても面白いです。
スピードブレーキというのは、翼のところに立てるやつですか？
by アンジー (2007-11-18 17:01)
はい、そうです。
片側の翼上面に６枚ありますが、内側の４枚が飛行中、スピードブレーキとして働きます。機体が地上にある時は、６枚全てが立ち上がって揚力を減らし、ブレーキの効きをよくします。
この使い分けはパイロットが行っているのではなく、車輪に付いていますエア・グラウンドセンサーにより、機体が空中にあるのか地上にあるのかを感知しています。
このエア・グラウンドセンサーは非常に重要な働きをし、機体の色々なシステムと関連しています。
by ＦＤ (2007-11-19 09:13)
いつも楽しく拝見させて頂いておりました。
このブログ、時々コメントを入れたくなる時があるのですが、出来なくて悔しかった？です（爆）それが、コメントが記入出来るようになり嬉しく思ってます。A/Pを使い分けて飛ばれているご様子が目に浮かびました。
また記入させてください。
by アドマンSFC (2007-11-19 15:38)
随分昔からとっても楽しく拝見させていただいておりました、旅客機が大好きなyukiと申します。いかに効率よく、シンプルにオートパイロットを使うかが大切なんですね。これからも、いろいろな話題で私たちの知らない世界を堪能させてください。よろしくお願いします。
by yuki (2007-11-19 16:40)
前略 楽しく拝見させて頂いて居ります。小生も長年の夢がやっと叶い、今年から海外のエアラインに就職しました。３８歳にして遅咲きではありますが、切磋琢磨の毎日を送っています。乗務機種はB3-800です。
小生も大のオートバイ好きで、その昔はGSX-R 750でサンデーレースに参戦したことも有ります。(その頃は、平忠彦の全盛期でした。) 現在はBMWのツーリングバイク購入の為、毎月少しずつ小遣いを貯金しています。今回のV-NAVの件に漏れず、非常に役に立つブログを掲載して頂き、有難うございます。今後とも楽しいブログを提供して下さい。
by Kenji (2007-11-27 16:51)
スポイラーの件なのですが、飛行中に使用されるフライトスポイラーは内側4枚ではなく外側4枚じゃないでしょうか？(機種により枚数に違いはありますが)
一般的な旅客機であれば外側がフライトスポイラーで、内側はグラウンドスポイラーになっているはずです。
by お名前（必須） (2024-03-04 18:30)