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インターセプト・ファイナルコース [航空関係]

今月はシミュレータ訓練や緊急脱出訓練などが重なっていて、二泊三日などの泊まりのパターンがはめ込みにくいのか、一往復日帰りのフライトが多くなっています。一往復日帰り便と言えば沖縄那覇便、今月は5回も付いてますね~。
この時期、偏西風が強いので、往きのグラウンド・スピードが350ノット、帰りは650ノットと言う事にもなり、フライトタイムも1時間近く違ってきます。500ノット±150ノット(速度±風速)

羽田空港は夜の10時を過ぎますと、ILS Rwy34L の進入方式が「ズルー」から「エックスレイ」に変更になりますが、これは千葉県・木更津市周辺の騒音を軽減する為で、ILS の進入開始高度が3千フィートから4千5百フィートに引き上げられます。
羽田では新しい4本目の滑走路を造る為の基礎工事が行われており、その影響で Rwy34R は午後8時45分以降、着陸には使用できなくなっています。

ILS X Rwy34L に合わせてアライバルの設定を行いますが、私は PERRY にではなく、BOSOH にアルティチュード・コンストレイントを入力する事にしていますので、BOSOH に FL145を入力してみましたところ、PERRY の通過予測高度が FL169となりました。いいですね! PERRY に入力しない理由は?分かる人には分かる。

その後、東京コントロールからは、こんな降下指示がきました。
“Descend to Reach FL170 by PERRY,Transit Speed 270Knots ”
降下速度を指定された場合に、VNAV Path モードでの降下を行いますと、速度が増えてきた場合の対処方が難しくなってきますので、(スピード・ブレーキが必要になってきます)T/Dの少し手前から VNAV Speed モードで降下を開始し、VNAV の適正なパスの少し下側を降下するようにします。

PERRY の手前で、東京アプローチにコンタクトするよう指示され、アプローチからは50度のヘディングで6千フィートまでの降下指示がきました。
ここで BOSOH に入力してあったアルト・コンストレイント、FL145をキャンセルする事になるのですが、こんな場合は先にスピード・インターベンションを行って、オート・スロットルが不必要な動きをしないようにしておきます。
そしてすかさず、インターセプト・LUNAR ・ファイナルコースの設定を行う訳ですが、皆さんこの設定を行うのが遅いんですよね。
設定を遅らす理由、「アライバル・ルートを残しておいた方が、現在の飛行機の位置が分かって、今後の高度処理の参考になる」 と言う事らしいのですが、本当に参考になりますか?この後もアライバル・ルート上をレーダー誘導されるのであれば参考になるでしょうが、そんな保証はない。常に誘導目標、今回の場合は LUNAR を中心に物を考えるべきです。VNAV のバーティカル・トラックエラーも当然 LUNAR を基点として表示させるべきです。

図のようなバーティカル・トラックエラーを眺めていても、何の参考にもならないでしょう。この表示はアライバル・ルート通りに飛んだ場合、適正なパスより6千5百フィート低いという事を示しています。

インターセプト・LUNAR ・ファイナルコースの設定を行った後の表示は次のようになりました。

これが LUNAR を基点とした実用的なバーティカル・トラックエラーですので、これを参考にしながら、今後の高度処理を考えるべきです。
適正なパスから千4百フィート低い訳ですから、いずれパワーが必要になってきます。じゃ、早めに使っておきましょう。こんな時、皆さんはスラスト・レバーを手で押すでしょうが、私はそんな事はしません。
ここが VNAV の面白い所なんですよ!スピード・インターベンションをキャンセルしてやれば、パスより低い訳ですから、オート・スロットルが自動的にパワーを出してくれます。その後、ホールド・モードになりますので、必要ならパワーの微調整を行います。

まだ遅らす理由があるって?「アライバル・ルートがなくなると、WESTN (今回の場合は OTAKI)が消えてしまうので、ホールドを指示された時、困る事になる」
あの~、最後に WESTN でホールドしたのは何年前になりますか?十年に一度あるかないかのホールドに備えて、WESTN を残しておくの?万が一ホールドが指示されたら、「W」「E」「S」「T」「N」 と CDU に打ち込めば済む事じゃない。前を飛んでいる飛行機にホールドの指示がされているような時には、残しておけばいいしね。


コメント(1) 
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ヒデガラ

はじめまして!

私は昨年からMicrosoftのフライトシミュレータおたくになりましたが、
先週からリアリティーを求め航空無線を聞き始めております。

よく、”ILS エックスレイ 34L・・・”って、聞こえてくるので、
ILSの電波は電磁波でX線ではない筈だけど・・・?と疑問に思い、
ネットで検索したらこちらのブログに辿り着きました。

エックス・レイは進入開始の高度だったのですね!!
大変参考になりました。問題が解決し胸がスッキリしました!


by ヒデガラ (2009-09-16 12:24) 

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