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CAT Ⅲ [航空関係]

CAT Ⅲ(Category Ⅲ) による着陸を行うためには、当然の事ながら機上装置と地上施設とが CAT Ⅲに対応していなければなりません。
現在 日本で CAT Ⅲに対応している空港と滑走路は、釧路 Rwy17、成田 16R、中部セントレア 36、広島 10、熊本 07だけとなっています。
-400は必要とされる機上装置を完備しておりますので、CAT Ⅲが可能なのですが、機上装置の一部に不具合が生じますと、CAT Ⅱや CAT Ⅰへグレード・ダウンする場合もあります。

必要とされる主な機上装置としましては、
エンジンは3発以上作動している事。
油圧装置は4基全部が作動している事。
オート・スロットル、オート・ブレーキ、アンチ・スキッドが作動している事。などが主なところです。

今まで CAT Ⅲの経験はシカゴで一度だけありましたが、(シミュレータでは嫌と言うほど経験しています)先日、国内では初めての CAT Ⅲによる着陸を行いました。場所は広島空港。
パイロットが滑走路を視認できなくても着陸できる CAT Ⅲですので、当然のごとくオート・ランド(自動着陸) が必須となります。

天気は良かったのですが、早朝便でしたので、空港周辺に朝霧が立ちこめており、特に西側と南西側の視程が悪くなっていました。RVR の値を見る限りでは CAT Ⅰが可能な状態ではありましたが、進入側にあたる西側の視程が極端に悪く、報じられていた雲高も、FEW/000となってましたので、CAT Ⅰでは進入復行の可能性もあります。そこで念のために CAT Ⅲによる進入着陸を行うことにしたのでした。

【RVR】とは、
着陸や離陸のために必要な視界を表すものとして卓越視程が用いられてきたが、これは一種の平均視程であり、測定する場所も滑走路から離れているため、近年より精密な進入を行う様になってくると、卓越視程と実際に操縦席から見える視距離とに差が生じる不都合が発生する様になった。そこでパイロットが操縦席から見る視界により近い値として RVR が用いられる様になってきた。
滑走路近くに設置された機器から光を発射し、その透過率または散乱率を測定する事により視距離(m)として表す。機器は1基から3基設置されているが、3基の場合は離着陸する側から見て、Touchdown、Midpoint、Stopend RVR と呼ぶ。
RVR は1800mまで報じられ、それ以上の場合は Above1800mとなる。
ただし周回進入を行う場合は RVR ではなく、卓越視程の値を用いて進入の可否を判断している。
(旧ホーム・ページ、航空用語解説より)

では、CAT Ⅲを行う場合、勝手に始めて良いのでしょうか?
-400のオートパイロット・システムは機上装置の故障がない限り、CAT Ⅲに対応していますし、我々パイロットもその資格を持っております。コックピットに CAT Ⅲボタンなどと言う代物もありませんので、普段 行っています CAT Ⅰと特に変わりはない訳ですが、パイロットの判断だけで勝手に始めることは出来ません。何故なら、地上の対応も必要になってくるからです。

まず、SSP(Special Sefeguards and Pricedures ) を発令して、滑走路周辺から車両等の障害物を排除しなくてはなりません。
下図のクリティカル・エリア内には車両は立ち入れない訳です。更に離陸を待つ航空機が待機するホールド・ラインも、滑走路中心線から90m以上離れた所に設置されている、CAT Ⅱ/Ⅲ専用のホールド・ラインとなります。赤線。
ただし国内では、CAT Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ兼用のホールド・ラインとなっている所が殆どのようです。CAT Ⅰ用のホールド・ラインも90m以上離れた所に設置されていると言う事ですね。
blogcriticalareanegasmall.gif
緑=クリティカル・エリア
青=センシティブ・エリア
飛行機は右から左の方向へ向かって着陸します。

管制から CAT Ⅲの許可をもらい、無事に着陸する事ができました。滑走路も対地千フィート付近で視認できましたので、どちらかと言えば CAT Ⅲもどきだったかもしれませんが。

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