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正社員と嘱託社員 [航空関係]

先日の勤務はスタンバイ。
スタンバイ勤務とは、病欠、便の乱れによる乗員のショートなどに備えて、会社の所定の場所で待機しておく勤務の事です。

先日は出社するなり、お声が掛かりました。
「◯◯空港の天候が悪く、乗務予定のキャプテンのウェザー・ミニマを下回っていますので、代わりの乗務をお願いします。何しろ昇格されたばかりのキャプテンですので・・・・・」

気象条件による機長の資格は、5段階に分かれているのですが、昇格したばかりの機長は当然のごとく一番下のランク(梅)になります。
各ランクの機長に適用されるRVR / 視程は、
松 :a 550m
竹 : 1200m
梅 : 1600m
更にCAT Ⅱ、CAT Ⅲ機長の資格があります。
もちろん、「腕が悪いから」 と言う訳ではなく、あくまでも経験差による資格分けを行っているのです。

我々シルバー乗員は、100%出来高払いによる賃金となっておりますので、会社でボンヤリ?スタンバイをしているよりは、有り難い勤務変更ではあるのですが。
しかし思いましたね、正社員の手に負えないからと言って、その仕事を嘱託社員に代行させるとは、面白い職場環境だな。と
確かに作業現場ではあるかも知れません。モタモタしている正社員に、「ちょっと代わって」 と言って、ベテランの嘱託社員が仕事を引く継ぐ事が。
でもね、会社が正式な業務指示として、嘱託社員に仕事の引き継ぎを指示することが有り得るでしょうか?

60歳になって定年退職した正社員が、その後 嘱託として働くことは、現在 珍しいことではなくなっています。
例えば、ある会社で部長職をしていた人が定年退職後、嘱託として仕事を続ける。当然 賃金は部長時代の半分程度になると思われます。
しかし、仕事の内容も変わって、責任のない、言ってみれば気楽な職場環境となるはずです。

ところがですよ、嘱託社員となっても引き続き部長職にとどまり、何人かの部下に指示を与えながら仕事を続け、責任も負う立場にも変わりがない。にもかかわらず、賃金は自分の部下にも及ばない、と言う事が一般的に考えられるでしょうか?
職場の秩序を保つためにも、モチベーションを維持するためにも、絶対にあり得ない、やってはいけない労務政策だと思えるのですが。
「部長の野郎、非常勤の嘱託社員で、給料も俺たちより低いくせに、うるせえ事ばかり言いやがって!」 となってしまったら、職場の秩序は崩壊してしまうでしょう。

ところが!その労務政策が、我が業界では堂々と行われているのです。(部長→機長と言い換える)
シルバー乗員と言えども、仕事の内容は現役乗員とまったく変わるところがない上に、同じ責任を負わされています。
しかも、「技術の伝承」 などと言って、副操縦士の教育も期待されていますので、当然 操縦を任せる場合もある訳ですが、全ての責任はPICであるシルバー乗員に課せられているのです。

こんな事を書きますと、「そんなに文句があるなら、さっさと辞めちまえば」 との意見もあるでしょう。
コーパイなども、面と向かっては言いませんが、内心そう思っている事は分かっています。
組合のアンケートでも、「60歳過ぎても働くなんて、気が知れない」 とか、「働きたかったら、文句言わずに働け」 と言った意見も出されていますからね。あなた方にも、いずれは来る道なんですよ。

会社と社員の関係。「皆さんの仕事ぶりには感謝している」 と言った言葉だけではなく、仕事の評価は賃金によって応えるべきだと考えます。
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コメント 6

kingair350

しかし、色々問題がありますがFDさんは大空をB744という大きな飛行機を操って飛んでいるのですからうらやましい限りですよ。以前桶川の河川敷空港から飛行機に乗せてもらい八尾まで往復乗せてもらえたときがありましたが、自分たちの飛ぶ9000ftよりもはるか上空を音もなくすーと飛行機雲をひいて飛び去っていくB744をみる事ができました。もう真っ青な青空を気持ちよく飛び去っていくあのジェット機はうらやましく思いました。いつかは計器飛行証明を取得して国内で飛べる機会があればB744と上空で高度差ですれ違ってみたいものです。しかしきれいなコックピットからの眺めですね。
by kingair350 (2009-07-07 15:42) 

windy

日本も本格的な高齢化社会に突入しますから、能力、技術のある方は、
正社員で雇用すべきですね。
会社にとっても、そのほうが、得策ですね。
60歳で老人は昔話です。
能力、技術の伴わない保守的なマンネリ老人は、不要ですが。


最近の若者には不安を感じざるを得ない、50代の会社経営者でした。
by windy (2009-07-07 15:56) 

HAL

同じ責任、同じ労働には同じ処遇で応えるべきですよね。
少し話は違いますが、楽器で有名な会社(バイクも系列にある)の技術者の人の話を聞く機会がありました。どんどん仕事を外注に出した結果、正社員に技術が残らず、外注さんを切るわけに行かないとか。某最大自動車会社の子会社ももそばで見ていると入社後外注管理が仕事という正社員ばかり。結局自分たちがものを作らないので技術力も上がらずモチベーションも上がらず。
日本の会社、内実はあちこちで弱体化しているのではと言う危機感を感じます。
by HAL (2009-07-09 07:19) 

FD

管理するだけで、技術を持たない正社員。持っているのはプライドだけでしょうか?

間もなく63歳。悠々自適の生活と行きたいのですが、なかなか・・・
by FD (2009-07-10 10:12) 

よっすぃ〜と

うちの職場(某家電メーカーの製品修理をしています)の中心は複数社からの派遣社員でしたが、この度一社による請負化されることになり、今居る派遣会社よりはわずかですが給料が良くなる方向だったので転籍して業務を継続するつもりでいました。
しかし、四十路12年目の大ベテラン(うちの職場では最古参になります)を捕まえて、半年前に入ってきたばかりの若手と同じ時給ということがわかり、これまで身につけてきた技術と経験を正しく評価されてない事に腹を立て時給UP交渉をするも一蹴されたため辞めることにしました。

ちなみに、他の主要メンバーも派遣会社と請負会社とのいざこざのせいで転籍できなかったので、あとは請負会社の連れてきた「優秀な人達」に委ねられる事になりますが、果たしてこのド素人たちがどこまでやれるのか…?
by よっすぃ〜と (2009-07-11 01:13) 

HAL

管理するだけで技術を持たない正社員、プライドだけは大会社を背中にして強いのですよね。そして、派遣会社のベテランや技術を持った人より処遇はずっと上で安定しているという。
自分の技術に対するプライドをもち、磨き上げることが必要なのだと思いますが・・・
by HAL (2009-07-12 11:38) 

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