錯覚 [航空関係]
左旋回しながら上昇を続けていますと、前方から接近してくる他機を発見しました。
この接近が危険だと判断したあなたは、このまま上昇を続けるか、それとも降下に転じるか、どちらへの回避操作を選択しますか?
要するに、前方から接近してくる他機の高度を、自機より高いと判断するか、それとも低いと判断するか、と言う事なのです。
相手機はますます接近してきます。
さっ、どちらへ回避するのが正解だったのでしょう?
ここまで接近しますと分かりますね。相手機は自機より1,000フィート下の高度にいたのです。
これでお分かりのように、同高度又は1,000フィート程度下にいる航空機は自機よりも高い高度にいると錯覚してしまうのです。
そして、距離が離れていればいる程、この錯覚が起こりやすくなるのです。更に旋回中などではこの傾向が強まりますので、注意が必要となります。
人間の感覚など当てになりません。やっぱり機械(コンピュータ・TCAS)は正しいのです。
写真は1,000フィートの高度差で巡航中である事を TCAS の表示で確認し、安全性に問題なしとして撮影したものです。旋回しているように見えるのは画像処理によるものです。
焼津上空ニアミス事件のように、多くの人命を危機的状況に陥らせるような事が二度と起きないよう願っています。
航空機に装備されています TCAS が衝突の危険を察知しますと、互いに連絡を取り合って、反対方向(高度)への回避を指示するようになっています。どちらが上昇し、どちらが降下するかは、TCAS に割り当てられている一連番号の大小によって決定します。
TCAS の指示に反する回避操作を行う事が、いかに危険であるかがご理解頂けるでしょう。
ND(Navigation Display )に表示される相手機のシンボルの例。約15マイル前方にいる相手機は、1,000フィート下の高度から上昇中である事を示しています。
一枚目の写真だけみたら、相手の方が
上にしか見えませんでした。
しかも、お互い近付いているんだから
考えてる時間なんてないんでしょうね。
by うえいぱうわ (2011-03-18 16:15)
写真を見るからに排気煙の方向でも
判断できるような気もします。
機体の下側に出ているなら相手が上。
機体の上側に出ているなら相手が下。
by 通りすがり (2011-03-19 07:51)
一枚目の写真を見たら完全に真正面に見えました。
ましてや左旋回で上昇中に一枚目の写真を見てしまうと、
上昇か降下はとても難しい判断ですね。
FDさんが普段から書かれている
「飛行機の機能を使いこなす」事の大切さが少し分かりました。
by ゆた (2011-03-21 01:26)