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重心位置 [航空関係]

子供の頃、ゴム動力で飛ばす模型飛行機を造った経験が誰にもあると思いますが、重心位置の設定がけっこう難しかったのではないでしょうか。これは本物の飛行機でも同じ事で、重心位置を許容範囲内に収める事は、運航管理上 非常に重要な仕事となっています。

では大型旅客機の重心位置はどの辺にあるのでしょうか?
B747-400を例に取りますと、重心位置は MAC(Mean Aerodynamic Chord :平均空力翼弦)の10~31% の間に維持しておかねばないと規定されています。
MAC の翼弦長は327.8インチですので、その21% は68.8インチ=1.75mとなり、重心位置の許容範囲は大型機でも意外と狭い、と言えるのではないでしょうか。
その許容範囲を図で示しますと、矢印に挟まれた範囲、前から3番目のドア付近という事になります。
大型機でもこんな狭い範囲に重心位置を収めなければならないのです!

また重心位置を挟むようにして、重量物である前後のエンジンが配置されてるのが分かりますね。
ちなみに人間が一人、一番前の席から一番後ろの席まで移動しますと、重心位置が約12mm変化します。

重心位置は飛行機の高々度での安定性、バフェット・マージンにも関係してきますが、重心が後ろ寄りにある方が安定性は高まります。
クルーズ・ページ4R に MAX ALT が表示されていますが、重心がデフォルトの位置、20%にある事を前提にした計算ですので、重心位置により、実際の MAX ALT は違ってくる事になります。20%より前方に重心がある時はバフェット・マージンが少なくなる訳ですので、特にテイル・タンクからセンター・ウイング・タンクへ燃料をトランスファーした直後などは要注意ですね。重心が約8%前方へ一気に移動しますので。
PERF INIT ページ4R の CRZ CG をマニュアルで入力してやりますと、MAX ALT の数値と、PFD に表示されるマニューバー・スピード・マージンも変化します。

重心位置は離陸時のスタビラーザー・トリム・セッティングにも関係してきますが、
B747-400にはノーズギアに荷重センサーが付いており、重心位置が前寄りにあるのか後ろ寄りにあるのかを感知してますが、その測定結果とスタビラーザー・トリム・セッティングの間に矛盾がありますと、警報を発するようになっています。

よほど偏った乗り方をしない限り、乗客や燃料による重心位置の変化はそれ程 大きくありませんので、重心位置の調整は主として貨物で行っております。時々貨物の搭載場所を変えて調整したりしておりますが、貨物の搭載管理もなかなか大変な仕事のようです。


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