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ここでも VNAV その弐 [航空関係]

那覇空港 Rwy36に設置されている、ILS のグライド・スロープの降下角を、これまでの2.75度から一般的な3.00度に変更するための工事が現在行われており、グライド・スロープの運用が一時的に停止されています。PAPI は3度に変更済み。
この場合に使用される進入方式としましては、ロール・モードをローカライザーで、バーチカル・モードを V/S で行うのが通常の操作手順となっているのですが、このバーチカル・モードを通常の V/S に代えて、VANV のバーチカル・ガイダンス機能を使って行う事が、正式な計器進入方式として認められるのか否かの判断を技術部に問い合わせ中である。と言うのが前回までの経過でした。

そしてその回答は、ある程度予想していた事ではあるのですが、 との返答でした。
確かに VNAV の機能を有効に使って、CDFA を行う事は、CFIT 防止の観点からも有効である事は認める所であり、欧米では実用的に運用されているのが現状ではあるものの、我が国においては局との調整もあるので、引き続き V/S モードでの進入をお願いしたい。

う~ん・・・VNAV を使えば、遙かに安易にかつ安全に進入を行う事が出来るんですがね~
VNAV 機能を有効に活用できる環境作りを急ぐとの事ですが、『CFIT 防止に積極的に取り組んでいくため、CDFA を奨励します!!』 と高々とうたい上げた割には、なかなか先へは進みませんね。

航空局との調整ですか?・・・・・諸外国ですと、安全が確認できた段階で、何のためらいもなくゴー・サインとなる訳ですが、我が国においてはお役所という難物が立ちはだかってしまうらしい。情けない事です。
確かに ILS 等の地上施設の場合、発射された電波が地形等の影響を受けないか、慎重にテスト・フライトを重ねる必要があるのですが、VNAV は飛行機に搭載されている FMS の機能ですからね。
千歳でオーケーなものは、広島でも、那覇でもオーケーなんですよ!

では、V/S モードと VNAV モードでは、どれほどの違いがあるのかを、広島 Rwy10を例にとって図解してみる事 にします。
下のアプローチ・チャートは ICAO の基準に準拠した最新の表示方式となっているのですが、
まず、各進入セグメントごとの最低安全高度、Segment Minimum Altitude が表示されるようになりました。(灰色
MACKY までは2800フィート、D3.5までは2100フィート、
D1.1までは MDA 1410フィートが最低安全高度と言う事になります。
次に、非精密進入のための降下パスの目安として、Altitude / Distance Reference Table を設定し、Recommended Procedure Altitude として表示されるようになりました。

では、広島 Rwy 10 ILS のグライド・スロープが運用停止になったと仮定して、ロール・モードはローカライザー、バーチカル・モードは V/S を使ってアプローチを行ってみる事にしましょう。

FAF(MACKY)|7.0 |6.0 |5.0 | 4.0 |3.0 | 2.0|
3541feet あa3293 2975 2657 2338 2020 1701 Recommended Procedure Altitude

bloghiroshimalocapch.gif
MACKY に到達するまでに、アルト・カウンターを2100フィートまで巻き下げておき、MACKY で V/S スイッチを押し、適当な降下率をセットします。MACKY 手前で V/S モードにし、レベル・フライトでござるとやってしまうビーロク流は駄目ですよ。モードの使い方が分かっとらん!
適切な降下率は降下速度によって変わってきますが、取りあえず800フィート/分にセットしましょう。
DME と通過高度を頻繁にクロス・チェックしながらの降下になると思うのですが、5 DME 通過時の高度が2500フィートだったとしますと、青の線
適切な通過高度は2657フィートですので、ちょっと低すぎますよね。
そこで降下率を600フィート/分まで減らしてみたのですが、D3.5に到達する前に2100まで降下してしまい、V/S モードから ALT モードへとモードが変わってしまったのでした。

レベル・フライトを続けながら、D3.5を通過する前に、アルト・カウンターを MDA 直近の1400フィートにセットし、再び V/S スイッチを押して、今度は降下率を700フィート/分としたのですが・・・・・
飛行機には勢いが付いていて、すぐには降下を始めてくれません。そんな訳で、3 DME 通過時の高度は2100フィートのままでした。
そこで慌てて降下率を増加させたのですが、今度は適正な高度より低くなりすぎて・・・・・
何やってるんでしょうね? V/S モードで遊んでいる場合ではありませんよ!パイロットの仕事は滑走路を見つける事なのですから。

もし、最初の降下率が少なすぎますと緑の線になってしまい、D3.5を過ぎてから、急降下を強いられる事になります。しかも、対地1000フィート以下での最大降下率は、1000フィート/分に制限されているのです。
更に怖い事は、MACKY を通過していないにも関わらず、通過したと勘違いして、アルト・カウンターに2100フィートをセットし、V/S スイッチを押して降下率をセットしてしまいますと、飛行機はその時点で降下を開始してしまうのです。ピンクの線
その点、VNAV の場合は、間違った高度をセットしてしまったとしても、MACKY / 3600フィートが FMS に登録されていますので、MACKY 手前で降下を始めてしまう事など絶対にあり得ません。
VNAV は FMS に登録されたシナリオ通りに事を運ぶ、安心安全なモードなのですから。

では、このアプローチを VNAV で行いますと、どうなるのか?
MACKY に到達するまでに、アルト・カウンターを MDA 直近の1400フィートまで巻き下げておきます。
MACKY を過ぎますと、VNAV のパスに沿って(赤線)自動的に降下を開始してくれるのです。
後はバーチカル・トラック・エラーをモニターしながら、D3.5で2100フィートをクリアーした事を確認し(VNAV のパスに沿っている限り、必ず2100フィート以上で通過します)、MDA へ向け降下を続ければよいのです。
たったそれだけの操作で、安定した降下を継続してくれる!素晴らしい機能だとは思いませんか?
滑走路を見つける為の余裕も、格段に違ってくるに相違ありません。

もちろん、V/S モードを使った場合でも、VNAV のバーチカル・トラック・エラーを参考にする事は出来るのですが、VNAV のパスを V/S モードで追っかける事は規定上支障がなくて、VNAV のパスそのものに乗って降下するのは支障があるとするのは、どう考えてもおかしいではありませんか。
一日も早い VNAV 全面導入を期待するところです。


JAL の法的整理問題で鳩山首相、「株主の責任も厳しく問われなければならない」 などと言っておりましたが、あんたに言われたくないネ。株主一同

NHK の世論調査、在日外国人参政権問題についての設問がなかったのは意図的なのか?
それでも民主党の支持率が50%を超えていると言う事は、日本人の大半は参政権を与えても問題ないと思っているのか?

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