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羽田空港で重大インシデント Runway incursion [航空関係]

報道によると、15日午後6時5分頃、神戸発のスカイマーク便が羽田空港のA滑走路に着陸しようとした際(青線)、直前に全日空便がA滑走路を横断した(赤線)との事。
スカイマーク便はその3分後に着陸したが、全日空便は既に横断を終えていたのでトラブルにはならなかった。管制官はスカイマーク便に着陸を許可した後、全日空便にも横断を許可しており、国土交通省は重大インシデントと認定し、事故調査官を派遣する事にしたらしい。
また、スカイマーク便は滑走路の約5キロ手前に迫っていた。との報道もあるが、5キロが正確な位置だったとすると約3マイル弱、高度にして 1,000ft となるが、3分後に着陸と言うのが事実であれば、実際はもっと距離があったのではないかと推測できる。この辺りが報道の当てにならないところでもあるのだが、そうであるなら今回のインシデントの解釈も変わってくるかもしれない。

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今回も航空評論家を気取って両機の動きと管制指示を推測すると、C滑走路(34R)に着陸した全日空機は A点 付近で Ground に周波数を変更するよう指示された後、国際線ターミナルへ向かうために南下して A滑走路(34L)手前まで進んだと思われる。
そして、A滑走路横断の許可を得るために、A滑走路を担当する Tower にどの時点でコンタクトするよう指示されたのか?また、スカイマーク機に着陸許可が発出されたのはどの時点なのか?その前後関係が重要になってくるだろう。
全日空機が Tower に周端数を変更した後に、スカイマーク機に着陸許可が出たのであれば、
その後に横断許可が出たことを疑問に思うはずだし、スカイマーク機に着陸許可が出た後に Tower にコンタクトした場合であるなら、スカイマーク機は着陸許可が出た後に他機に滑走路横断の許可を出すなどあり得ないと考えるべきだろうに。
報道にある通り、全日空機が横断した時にスカイマーク機は滑走路から5キロの地点まで達していたのか?或いは全日空機が横断した3分後に着陸したとの情報が正しいか?によって解釈が変わってくるでしょう。
3分後が正しいのであれば、セパレーション的には問題なかったと考えるのです。
ただし、着陸許可と横断許可を同時に出すのはあり得ないので、横断許可を先に出して、横断が終わったことを確認した後に、着陸許可を出すのが通常かと。管制方式基準には、
着陸許可は原則として滑走路進入端から2海里の点に到達するまでに発出するものとする。としてあるのですが、希にあります。
“ Expect Landing Clearance on Short Final ” と言われる時が。その時は Go-Around の心構えですね。

いずれにしろ、両機はお互いに目視できたはずなのだから、Tower の指示を鵜呑みにしないで滑走路上の安全を確認して行動すべきであっただろう。

私も一度だけ似たような経験が。
ある地方空港でのこと。夜間の出発便だったのですが、滑走路の手前で着陸機を待っていますと、着陸機が目の前を通過した後、“ Taxi into Position and Hold ” (現在は Line Up and Wait)との指示が。
滑走路に進入して着陸機のライトが滑走路から離脱するのを待っていますと、何と!後続の着陸機に “ Cleared to Land ” の着陸許可が出たではありませんか。叫びましたよ。
“ ◯◯◯ On The Runway Ready ” と。我々に滑走路に進入して待機するよう指示したことを失念していたであろう管制官は焦ったでしょう。すぐに着陸許可を取り消し我々に離陸許可を与えたのですが離陸後には、“ Contact Departure Very Sorry ”
それにしても、滑走路に進入する際には Strobe Light も点灯しますので、滑走路をよく見ていれば他機が滑走路上に居ることが着陸機には分かる筈なんだけどね。

逆の状況も。夜間の羽田、着陸滑走路は 16L Visual 。管制方式が改訂されて、先行着陸機がまだ滑走路上に居る場合でも、先行機の情報を与えた後、着陸許可が出るようになったのです。
着陸許可を得て旋回しながら滑走路末端に近づきますと、先行機がモタモタしていたようで、Tower から指示された誘導路で曲がりきれずに更に先の誘導路から離脱することを要求していたのですが、Tower から我々には特段の指示はありませんでした。
しかし、よくよく目をこらして滑走路上を見ましたところ、赤いライトが滑走路上で点滅して居るではありませんか。
その時はコーパイに操縦を任せていましたので「ゴー・アラウンドしろ」と叫んだのですが、
そのまま着陸していればどうなったことか?衝突することはなかったとしても、大騒ぎになったことでしょう。

こんな事例も。

STANDARD CALLOUTS として、
1,000ft AFE ・・・・・「One Thousand No Flag or _ Flag」
500ft AFE ・・・・・・「Five Hundred Stabilized」とコールするよう規程されているのですが、
「Five Hundred Stabilized」の後に「Runway Clear」と声に出して確認するようにしていました。
とにかく Check and Check 、キャプテンとコーパイ、管制官の三者で安全を確保しないと。


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